凄い…凄すぎるでしょ!コレ!
メモの通りに荷物を抱えてきた。大して荷物はなかったが、洋服だけでけっこうな量になる。そんなことはどうでもいいんだけれど…
凄いよ!なんと一軒家だよ!
どんな生活が始まるのかちょっとワクワクしてきた。

「ふー…」
深呼吸をして息を整え、ヒンポーンとインターフォンを鳴らした。
そうすると、カチャと音がしただけだった。
もしかして、鍵開いた?まさか、超能力者がいるわけないし…

「あ、開いた!」
びっくりした。本当にびっくりした!私はそーっとドアを開け、中に入った。
 玄関で寝れそうなほど広い玄関。さすが高級住宅。私がここで一人で住むなんて夢のようだ!うん…一人?そういえば旺季さんは何も言っていなかったけど。

「ごめんくださーい…」

………?
誰もいないのかな?もしかしてさっき鍵開けたのって幽霊!?私、幽霊と一緒に住むのか。一人よりはマシ…かな?
そもそも自分に霊感があるのか分からないけれど

「新聞は間に合っている。居座るだけ無駄だ、早く帰れ。」

奥の方から怒号が聞こえてきた。
なんだか怖いなと思ったが、ここで引き下がったら負けだと思い、幽霊の正体を暴くことにした。
 
ソロソロとゆっくり靴を脱ぎ、声のした方へ歩いていく。

「オイ、そこで何をしている。」

「い、いやあああぁぁぁ!!幽霊退散!幽霊退散!幽霊た…痛いっ!えっ…?」

ブンブンと持っていた鞄を振り回したら、自分に当たって正気に戻った。
幽霊だと思ったのに、目の前には腕組みをして仁王立ちをしている怖いお兄…さ…ん?がいた。

幽霊より怖いよ…

「何のようだ」

ギロリと睨まれ、体が震えた。え、本当にこの家で住むの?無理だよ!こんな怖いお兄さん?と住むなんて心臓がいくつあっても足りないよ!

え、えーい!もう、当たって砕けろ だ!頑張って話してみよう。
話してみれば案外いい人なのかもしれない。

「私、旺季さんに言われてきました!それと幽霊と間違えてすみませんでした!」 

「ああ、お前が旺季様の…」

おっ、願いが通じたのか?それよりもう顔上げてもOK?
私は恐る恐る顔を上げた。そうしたらパチリと視線がぶつかった。すごく…気まずい。

「名前はなんだ」

「明坂結衣です。あなたは?」

「葵皇毅。旺季様の部下だ。」

はあ…ととりあえず返事をした。
旺季さんの親戚とか、家族なのかと思っていたので、なんて返したらいいか分からない。
「葵さん、これからよろしくお願いします!」

そしてまた私は頭を下げた。
「結衣か。まあ、存分に使ってやる。とりあえず荷物は2階に置いて来い、いろいろ説明しよう。」

「あっ、はい!」

なんだかよく分からないが、やって行けそうな気がした。


20111106

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