いち
毎日、毎日私がアルバイトの時間帯に来る一人のお客さんがいる。
そのお客さんはいつもプリンを二つ買っていく。
きっと奥さんと子供に買っていっているのだろうと思っていた。
そうじゃなかったら、お見舞いか何かだろう。
その人は背が高く、かっこいい。けれど、あの鋭い瞳で睨まれたらきっと怖いと思ってしまう。
私も最初怖かった。
けれど、毎日のようにプリンを買って行くので、プリンが好きなら悪い人じゃないと思いはじめたら怖さはなくなった。
今日は私一人で店番。
あのお客さん来るかな?
あっ、来た!
そしてまたプリンを二つ買う。
「あの…奥さんと子供さんは元気ですか?」
ケーキを箱に入れる作業を止め、口に出た言葉はたわいもないこと…だと思う
男は眉をひそめ怪訝そうに口を開いた。
「私は結婚していない」
ぶっきらぼうに呟いた。
「す、すみません。変なことを聞いて…」
今日はそれだけだった。
でも、なんだか結婚していないと言うことが分かってホッとした。
(あれ?何で私ホッとしてるんだろう…)
また明日もあの人来るといいな
end
2011/05/06/ 00:29
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