片思い→両思い

 

今日私は守護聖様からお仕事を頼まれた。それは、ルヴァ様の所に行って本を返して来ること。
ルヴァ様は大体図書館にいるので、今向かっている。


「ルヴァ様いらっしゃいますか?」

図書館は広い。この中からルヴァ様を探すのは一人じゃ大変だ。しかし、私一人しかいない。
簡単に見つかるとジュリアス様は言っていたが、嘘だと思う。

「仕方ないから、一冊ずつ本棚に入れておくか…」


本の背表紙を見れば、どこにあった本かなんとなく分かる。


「これは…そこか!」


よいしょと背伸びをして本棚に手を伸ばす。むう…ジュリアス様はこの棚に悠々と手が届くかもしれないが、私は…


(まったく届かない…)


ジュリアス様は意地悪だ… 

後で文句を言ってやろうと心に決めた瞬間。


「あ…危ない!」


へっ?と何となく上を見上げると、ちょうどよく本が落ちてきた。それも一冊じゃなく、たくさん。
痛くなかったのはルヴァ様が私を助けてくれたからだ。

「あの〜パセリさん大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫です!」


ルヴァ様とバッチリ目が合ってしまった。凄く恥ずかしい。
心拍数がドンドン上がる。


「あ、あの…恥ずかしいです。」

ルヴァ様が私を押し倒したような形になっている。他の人が見たらどんな顔をするだろうか?
ハッと我に帰ったルヴァ様は顔を真っ赤に染めていた。

後少し…後少しで唇がくっついてしまう。自分からしたい、けれど私は守護聖ではない。


好きなのに、この想いはずっと心の中に閉まっている。
いつまでも、想いは心の中 

「パセリさん…わ、わた…私はあなたのことが…」


その時ガタッと最後の本が落ちて来た。


「っ!」


本はルヴァ様の頭に当たり、その拍子に唇と唇がくっついた。
まるで時間が止まったようだった。



ゆっくりとルヴァ様が離れると顔をさらに真っ赤にさせていた。きっと私も真っ赤だ。


「あの…ルヴァ様…私…」


「好きです。私はあなたのことが好き…なんです。」


これは夢なんじゃないだろうか?まさかルヴァ様から告白されるなんて思ってもみなかった。

「私もルヴァ様のことが好きです。」


そう言って私はルヴァ様の頬にキスをした。





end
20110324

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