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「あー…うー…」

「変な声を出すな、うるさい」

臭う、私の腕から変な臭いが。私の体臭とかじゃなくて、単にこの塗り薬がとても臭いのだ。

「もふもふお姉ちゃん頑張って!」

皆の声がとても、遠い。鼻がいい殺生丸や邪見なんか見えないくらい遠い。殺生丸は木の上にでもいるんだろうけど、りんちゃんは臭いを気にしてないのか私の近くに座っている。

「なにこの上に乗っている葉っぱは」

「りんが持ってきたものだ、私は知らん」

まあ、きっと塗り薬もりんちゃんが持ってきたものだろうとは察しがつく。

「この葉はね傷によく効く葉なの!だからかごめお姉ちゃんと一緒に探しに行ってたんだ。」

「だそうだ」と殺生丸は頷いた。

私のためにわざわざ探してくれたなんて、なんて優しいのだろうか。それに比べて殺生丸は…

「…なんだ」

いつも涼しげな顔をして余裕そうだ。そんなところも憧れ、惹かれる。




私は目が合うだけでもこんなに鼓動が早くなるのに…

「はあ…」

「もふもふの敵はまた来るのだろうな」

「また…もふもふお姉ちゃん戦うの?」

りんちゃんの切ない目、そんな目をされても私には戦うしか選択肢はない。今度は生死にかかわるかもしれない、それでもやらなくちゃ…

「向き合う時が来たのよ、きっと」

私を連れ戻しにきたのか、それとも私を始末しにきたのかわからない、けれど逃げてはいけない、目をそらしてはいけないことなのだ。

「話は後で聞くとしよう」

「殺生丸、どこに行くの?」

殺生丸は私に呼びかけには答えてくれなかった。

「行っちゃった…」

「そうだね」

りんちゃんも少しさびしそうに殺生丸を見送った。
それからしばらくしてりんちゃんも魚をとりに行くと言ってどこかに行ってしまった。追いかけようとしたら足が動かなくてびっくりした。

「いっ…」

時間が経てばたつほど痛みが増していく。このまま治らなかったらと考えると…

「考えたら負けなんだから」

気持ちで負けてたまるか!と思いつつ、りんちゃんの帰りを待った。


20120818



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