「あーあー」
何かないかなと蝙蝠のように、木の枝にぶら下がっていた。この頃、この世界は平和すぎて退屈だ。
こんなに暇なら、今日は犬夜叉で遊んでこようかな?殺生丸は朝から見ないし…
「暇だ…」
「暇ならば仲間の元に帰ってきたらどうです?」
「仲間って…何言ってるのあんた。私に仲間なんているわけないじゃない」
よいしょと体を起こし、声の主を探した。臭いは無い。
厄介な人?に目をつけられてしまったようだ。それに、この人から逃げられない気がする。
私の本能が、自分よりも敵の方が能力的に上だと告げている。
「豹猫族はあなたの事を待ってます。」
ドクリと心臓が鳴った。冷や汗が額から流れ落ちた。
「っう…ぁあ、い、痛い…」
髪の毛を思い切り捕まれ上に持ち上げられる。それと同時に体が浮かぶ。
「だ…誰よ、あんた…」
「まだ首を絞めない分、私はまだ優しいと思いますが。」
丁寧な口調で私を責め立てるこの男は誰なのだろうか。男の口から出た豹猫族と言う言葉。もしかしたら…
「随分、弱くなりましたね。昔は私と同等の力だったのに…あの男ばかり見てるからですね。」
「離して…離してよ」
「良いですよ」
ふっと笑うのが聞こえた。そして次の瞬間、私は突き飛ばされ一瞬にして地面にたたき付けられた。
起き上がるにも、起き上がれず私を見下ろす男を睨んだ。
「その顔いいですね。もっともふもふを苦しめたくなる…」
「このっ…」
力を振り絞り、得意である妖術を使って男から逃げようとした。なぜなら、形勢逆転は望めないし、体は悲鳴を上げているからだ。
「っうあぁあ!」
「私からは逃げられません」
腕を思い切り男に踏まれ、悲鳴をあげた。
「また来ます。それまでには心を決めてくださいね。」
それではと男は頭を下げ、一瞬にして消えてしまった。私はぷつりと糸が切れたかのように、意識を飛ばした。
20120401