今夜は月が綺麗だった。
この月を見て何人も、綺麗だと呟くだろう。
足を休めて、空を見上げる。
ため息が出るほど綺麗なお月様に目が離せなくなる。
まるでお月様はあの人だ。
あの人は私の心を…目を…魅了する
ずっと見ていても飽きることはない
「遠いよ」
一口、喉に流し込むと体がカッと熱くなる。今日は月が綺麗に見えるからと、かごめちゃんから酒を渡された。
一人で飲むのには多すぎる酒。
どうしたものか…
悩んでいるうちに夜になってしまった。殺生丸は遠くにいるし、りんちゃんにお酒は飲ませられないし…
それで、せっかくなので月を見ながら一人で飲むことにした。
「殺生丸のばかあああ!!」
どうしてこんなにも寂しいのだろう。月に向かって叫んでも殺生丸は来てくれないのに。
「ううっ…ヒック…うぅ…」
なんだか体がさっきより熱い
ふわふわして、なんだか気持ちがいい。
まだ、猪口て三杯しか飲んでいないのに。私ってこんなにお酒弱かったっけ?
酔ってない、酔ってないんだから…
「うわぁ…月に手が届きそう…」
手を伸ばした瞬間視界が真っ暗になった。
「ん?」
目を開けると殺生丸がいた。
さっきまで私しか居なかったのに。
殺生丸は私を抱き抱えている。
まるで、俗に言うお姫様抱っことやらだ。
「大丈夫かもふもふ?痛い所はないか?」
「え!あ、うん大丈夫だよ!」
何だか優しい気がする。
「そうか…ならば良い。もふもふの体に傷をつけたら、私が後悔する」
え?どうしたの?
ど う し て 殺生丸が後悔するの?
「もふもふの体に触るのも傷つけるのも私だけだからな」
「は!?」
殺生丸を凝視すると、殺生丸は顔を赤く染めた。
意味が分からない。
頭でも打ったのかと言いたいほど、殺生丸がおかしい。
何か変な薬でも飲まされたのだろうか?
聞きたい…けど聞けない…
「もふもふ…そんなに見つめられると恥ずかしいのだが」
顔を赤く染める殺生丸なんて貴重だ。一生に一度あるかないか。
この状態が今日だけなら…堪能しなければ!こんな美味しい状況を見逃してたまるか!
そう思い、私は一つの願いを殺生丸に告げた。やっぱり殺生丸は顔を赤くする。
これが凄くかわいい。
「ちゃんと唇にね?」
お姫様抱っこをされながらの接吻は女にとって憧れでもある。
あと、ちょっと
あと、ちょっとで接吻!
…もう少し!
prev next
bkm