「オ、オリンピック選手〜?!」
話の途中で成宮くんが口を震えさせ、私を指さして言った。
「し、静かに!…成宮くんだって関東一の投手だって聞いたけど。」
「ふふん、まぁね!」
切り替えが早い!
成宮くんがふんぞり返って少し間抜けな顔をしたので笑ってしまった。
「だから、できるだけ持ってる時間は全部新体操に使わなくちゃ。」
ってわけ。
そう締めくくると成宮くんも神谷くんも一瞬真剣な顔になった後、柔らかく笑いながら言った。
「ふーん、そういう訳なら黙っててあげるよ。」
「俺たちと同じじゃん。ここだけの秘密ってのもなんかいいしな。」
神谷くんが私の頭にポンと手を置いた瞬間、少しの罪悪感が胸を走った。
全く同じではないのだ。
とりあえず神谷くんが半裸で照れるので手をどけて、後もう少しで帰るからといって練習に戻るよう促した。
ディーヴァジャパンの話を断ったことは言えなかった。
なんとなく。
でもそこを鋭く逃さない人間がいた。
「じゃあなんであの時、俺を助けたのさ。」
成宮くんと神谷くんが扉から出て歩き出すと、今まで黙っていた白河くんが私だけに聞こえるような声で言った。
覚えたたんだ…。
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