「昨日と随分違うじゃん。」

そう言って神谷くんは私の腕をとって立て直してから前髪を指ですくった。

「変装?」

「えっと……。」

「何?聞こえない。」

私がどうやってこの場を切り抜けるか考えていてどもっていると神谷くんが顔を覗き込んできた。
まわりの人たちがざわつくくらいの近さだ。

「そんなのいいから早く片付けるよ。」

「…ま、いいか。また夜にな。」

意味深な言い方をするから神谷くんを見ていた女の子が声を上げた。
どうせまた旧体育館で会うだろうからその時覚悟しておけよ、というニュアンスだったので私は身震いしてその場を去った。

教室につくと友達が、確かに成宮くんが来たけど違う人を探していたみたいだし、何も言わないでおいたと報告をくれた。
お礼をいって席に着き、授業が始まる寸前に白河くんを確認するべく後方を向いた。
なんか白河くんに助けられてばかりな気がする…。
変に後ろを向いている私を見つけた彼と目があったので両手をあわせて、ありがとうのポーズをした。
目を逸らされたし何も反応がないので、無視かな?と思ったまま見続けていると、「起立」と日直の号令があった。
まぁ白河くんらしいな、と思って立ちながら最後にチラ見すると、また目が合った。
そしてハッキリ口が動くのを確認した。

”バカ”

(おっしゃる通りです…。)

私はぐうの音も出ず両手で顔を覆った。

「青葉、なにやってんだ?」と先生の声。

歯車がどんどん狂っていく。


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なんかここで初めて夢主の名前だしたような気がする。
ごめんなさい。
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