「送る。」
「へ?!」
白河くんはちゃんと私の荷物も運んできてくれていた。
一応忘れ物がないか確認をして、ここで脱ぐわけにもいかないから練習着の上に制服を着る。
その間ずっと後ろで壁によっかかりながら腕を組んでいた白河くんは、鍵を閉めるためとかで待っているのだと思っていたけど、私の支度が終わるのを見計らって急にそんなことを言ったから反射的に変な声が出た。
「い、いいよ、近いし。」
「体調の悪い女子を放っていた男にするつもり?俺を。」
「見つけてここまで運んでくれたじゃん。」
言いながら鞄を持ってさっさと出ようとすると腕をつかまれた。
少し強引に去れば家まで送るなどという手間をかけさせずに済むだろうと思っていたのに。
私が予想外のことにリアクションがとれずにいると、白河くんは腕をつかんでいる手をゆるめて手首まですべらせた。
髪で隠れている方をこちらに向けて顔をそむけているので表情が見えない。
「あの………。」
「………………。」
「………………。」
チッと軽く舌打ちした後、正面に向き直した顔は少し赤かった。
でも顔は怒ってる。
「聞きたいことがあるんだけど。…ついでに送る。」
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