「おめでとう。ちゃんと最後まで見てたよ。」

「……そっちはちゃんと言うんだ。」

「そりゃあね。白河くんだって、私に”頑張れ”とか言ってほしくないでしょ。」

私いまどんな顔してるかな。
皮肉っぽく笑ったつもりだったけど、目頭が熱い。
せっかくさっきまで少し落ち着いていたのに、白河くんと言葉を交わした途端つらくなってきた。
そりゃそうか、私のこころを乱した張本人だ。

白河くんは少し黙った後、話題を移した。

「で、なんでのぞきしてたの?」

「変な意味はないよ!あまりに静かだから誰もいないのかなと思って。」

「甲子園までまだ日にちあるし、2日休みが出たから帰ってるやつもいるしね。」

「なるほどね。白河くんは?」

「…別に。青葉は?」

別にってなんだ?
まぁいいや、相変わらず残酷で的確な投げかけをしてくる人だ。
私は一呼吸おいて言い切った。

「帰らないよ。」

「……………。」

「中途半端はやめるの。これからは旧体育館に行くこともなくなるかも。」

「ふーん。」

白河くんらしい反応!
じゅうぶんだ、じゅうぶん。

たった2ヶ月かそこらだったけど、私の小さな秘密を知っていて同じように何かに打ち込んでる人といる時間はとても尊いものだった。
考えてみれば男の子の友達ができたのも初めてだし。
もうそれも終わり。
次に対等に話ができるのは、少なくとも私は一回以上で半年以上、稲城実業高校を離れた後だ。

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ヒロインのために残ってたんだなぁ〜、これが。
ここらへん需要あれば我白河視点書。
視点変えを番外編にすればいいね!
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