「最近白河くんと仲いいの?」

お昼の時間、そう言われて初めて周りからはそう見えるのかと自覚した。
自分的には結構時間をかけて近づいた感覚でいたのだけど、実際話すようになったのは最近だったからそう見えるのだろうなと納得した。

「前に成宮くんと、神谷くんと、白河くんと話す機会があって、それからかな。」

「え、どういう経緯で?」

「ちょっと私が遅くまで残ってた時に、あの野球部の監督に見てくるように言われたみたいで。」

別に隠す必要もないのである程度素直に話した。
そこまで男子に興味がある集団ではないので、へぇ、とかそんな感じの反応でこの話題は終了するのかと思いきや、白河くんの後ろの席の友達が話題を発展させた。

「白河くんたまに鈴ちゃんのこと見てるよ。」

「?なんでだろ。」

「そりゃあ、気になるんじゃないの?」

「うーん、言うほど話したことないよ?」

白河くんとは本当に数えるほどしか話したことないはず。
ちょっとひと茶番打ったくらいで。
成宮くんと神谷くんの方が圧倒的に話してる。
2人が旧体育館に顔出しても白河くんだけいないこととかあるし。
きっと私がアホっぽいからじゃないかな、と言えば皆少し納得したようで、私が抗議の声を上げたところでこの話題は終わった。

よく友達に変わってるって言われるけど、接し方がイマイチわからないだけなのだ。
それでもこうして昼休みに笑って話せる友達ができただけで、今は稲実に入学したことを後悔していなかった。
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