「白河、青葉ちゃんと何か話してたの?」
成宮とカルロスに合流すると、ニヤついた成宮が話しかけてきた。
そりゃあ成宮はこういう話題は好きそうだしと得意だろうけど。
彼女できないくせに。
「別に…。」
「えぇ?!怪しい〜!」
「そういや結局、青葉さんと同じクラスで、知ってたんだろ、白河。」
くそ、痛いところつかれた。
「……まぁ。」
「そうなの?!教えてくれればよかったのに!」
「別に、カルロスだって近くで見て気が付いたんだから同じクラスなら気がついてもおかしくないでしょ。」
返事がないのでカルロスを見ると鼻を鳴らして、どうだか、という顔をされた。
なんだそれ。
また成宮が騒ぎ出すかな、面倒。
そう思ったけど、思いのほか成宮は静かで冷静だった。
「はぁ〜あ、俺たちと同じようなやつがこんな近くにいたなんて!しかも女子!1人!」
後半は投げやりだったけど、どこか哀愁のこもった言い方だった。
たったひとつのミスで自分を追い込み、復活を果たしたエース。
中3の時、戦わなくてすむというのを主な理由に稲実と成宮の誘いに乗ったけど、あの時このエースについて行こうと強く思った。
成宮と青葉はどこか同じものを感じる。
でも少し違くて。
青葉は何か隠してる。
「よし!俺は雅さんと新技の練習しに言ってくるからね!」
そう言って走るエースの背中を見送りながら、俺も素振りをするためグラウンドに向かった。
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