【月島】チャイルドフット
あんまり僕と良い関係が続く女子っていないんだけど、烏野高校に入ってから、妙に仲のいい女子が1人いる。
他の女子は僕が基本的にそっけなかったり、媚びてくるのがうっとおしくて冷たくあしらうと離れて行くもんだけど、
彼女は最初から自然体で、僕のどんな態度にも全く引けととらなかった.
別にそれだけならそこまでなんだけど、その後も妙に気があって、今ではこのクラスで山口の次によく話すようになっていた。
「月島くん、あのさ、さっきの英語なんだけどさ。」
「朝日奈さっきちょっと寝てたもんね。昨日なんで夜更かししたのか言ったらノート見せてあげるよ。」
顔がもうノート見せてと言ってたから、言うより先に問いつめてやると朝日奈は頬を膨らませた。
「へー。月島くんが甘いもの好きだって言うから折角お菓子作ってきたのになぁー。」
「それを先に言ってよ、ホラホラ。」
交換交換、と言う感じでノートをヒラヒラさせると、しょうがないなぁ持ってくるからと言って自分の席へ戻って行った。
「月島ってさ、朝日奈さんと付き合ってるの?」
「は?」
「は?はこっちの台詞だよ。なんだ、月島と付き合ってないなら俺、朝日奈さん狙っちゃおうかな。」
「・・・・・・。」
「うっそだよ!こえーなぁ。」
朝日奈を待ってる間、そんなに仲のいい訳でもない前の席の奴が話しかけてきた。
睨みつけてやったら諦めて前を向いたけど、まぁこんなことを言われるくらいには仲が良い。
僕も彼女を好いてるし、彼女も僕を好いている自信がある。
付き合ってとか、言ってもいいかなと思ったこともあるけど、部活もあるし、
目に見える強敵もいないし、この距離感が好きなので行動には移さなかった。
目に見える強敵、いないと思ってた、今日までは。
「月島さん、英語教えてくれませんか。」
「・・・・・・部活前後だけって話だったよね?」
「・・・・・・。」
「ね??」
「だって英語の吉田先生いなかったんだもんよ〜!」
「営業時間内に・・・。」
「あれ、飛雄?」
「あ、”n”。」
朝日奈が戻ってくるまでにこの2人をどかそうとしたんだけど、間に合わなかったな。
そう思ったのも束の間、戦慄が走った。
”飛雄”・・・?
”憂”・・・?
「・・・え?」
「飛雄こっちのクラス来るなんて珍しい〜。何、月島くんに勉強教わってるの?」
「ぐ・・・不本意だけどな。」
「ちょっとなに不本意って。」
「あ”!影山お前!!・・・ってか、影山に女子の知り合いなんていたんだな〜。
おれ日向翔陽!1組!」
「あ、わたし”m””n”。飛雄とは幼馴染みなんだよ、よろしくね。」
「・・・とにかく、部活前後しか教えるつもりないから。」
帰った帰ったという感じでジェスチャーすると、2人は大人しく帰っていった。
「そっかー月島くんはバレー部だもんね、当然飛雄とは知り合いだよね。」
「”飛雄”ね・・・。」
「?」
「なんでもない。はいノート。もう授業始まるよ。」
「えっ、あ・・・うん。ありがと。」
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やらかしたな・・・。
結局あの後朝日奈は一度も話かけてこなかったし、余裕がなくて折角僕の為に作ってきてくれたというお菓子も受け取らなかった。
明日なんとか謝る・・・としてもなんか納得いかない。
練習もいつも以上に気合い入らないし、この後あの2人に勉強教えなきゃいけないし・・・。
練習が終わって、そんな感じでイライラしながら体育館を出た。
「あっ。」
「・・・あ”?!」
な、な・・・・?!
「なんでいるの?!」
「え?!えーと、ほら今日、ほら、そうだ、お菓子渡し忘れたなーと思って!」
「・・・ずっと待ってたの?」
「い、いや私も部活あったし、バレー部もテスト近いから上がるの早かったでしょ?そんな待ってないよ。ほんとほんと。」
「・・・・・・。」
「あ、あはは・・・。」
この様子だと結構待ってたな・・・。
怒ろうと思ったけど、元々僕が悪いんだし、僕だって今日中にどうにかできるものならしたい。
それと、朝日奈もどうにかしたいと思っていてくれたことが嬉しいし、安心した。
今ならすんなり謝れるかな。
そう思って謝ろうとしたその時。
「声がすると思ったら、なんでいんの?”n”。」
「飛雄?お疲れー。テストだし、すぐ帰るの?」
「ぐ・・・いや、ちょっとそこの奴に勉強を教わってから帰る。」
「あっそうか、言ってたね。飛雄はバレーすごいんだから勉強も頑張りなよー。おばさんから聞いてるよー。」
「なっ・・・憂も人のこと言えないだろ!」
「飛雄ほどじゃないです〜!」
なんなんだこれは。
折角謝ろうとしたのに。
影山は朝日奈と近すぎだし、朝日奈は結局僕がなんで不機嫌だったのか分かってないってことか。
・・・イライラするなぁ。
「ねぇ、朝日奈は何しに来たの?」
「え?!え、そりゃ、今日月島くん変だったから・・・っ・・・このままじゃ嫌だと思って。」
最初から分かってたけど、ちょっと凄みのある感じで問いただしたら正直に言ってきた。
影山は???って顔してるし、ほんとムカツクやつ。
「だよね。でも何でか分かってないでしょ?」
「?」
「おい月島、憂困らせんなよ!・・・って・・・・・・。」
「こういうこと。分かった?鈍いおふたりさん。」
「・・・へ?」
「嫌だった?」
「え?いや、い、嫌じゃない、けど、えええぇぇぇぇ?!」
「よかった。」
影山とやたら近づいていた朝日奈の肩を掴んで引き寄せ、前髪をたくし上げて、素早く、軽くキスをしてやった。
朝日奈は動揺してるし、影山は状況の処理ができずに呆然としてるし。
いい気味。
「影山。」
「は?!な、なんだよ。」
「今日は勉強会なしね。・・・憂は僕が送ってくから。」
ーーーーこんな感じで、着替えてる間も訳が分からない見たいな顔してた影山をほっといて一緒に帰ることができた。
うやむやな告白みたいになってしまっていたのをきちんとして、
ついでに幼馴染みの影山含め、僕の見てるとこで他の男子とあんまり仲良くしてると、今日みたいに妬いちゃうから、と釘をさしておいた。
憂はかなり動揺してなんでもうんうんと頷いていたから大丈夫と心配になったけど、
これも元をたどれば僕のせいだし、何よりあんまりみたことない一面で可愛かったから、よしとした。
まぁこれからそんなことがあったも堂々と言うけどね。
憂は僕の彼女だからって。
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あんまりベタベタさせるのが好きでないので普通に書いてたら薄くなっちゃいましたすいません・・・。
アンケートは月島の票が多かったので短編も月島メインにしたいと思います。
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