後ろにあったガヤも消えて、2人で歩く暗い廊下。
指名した手前、私から話しかけた。
「あの、成行きとはいえ、お手数おかけしてすみません。」
「元はうちの木兎さんが言い出したことですし、気にしないでください。それに、光栄ですよ。」
「そ、そうですか?あと前も言いましたけど、年上ですし敬語は・・・。」
やめていただけると。
なんとなく言い切れなくて赤葦さんの顔を覗き込むと、少し困ったような顔をしていた。
「・・・努力します。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「ふふっ。」
「な、わ、笑わなくても。」
「ごめんなさい、ちょっと面白くて。ふふふっ。」
敬語のことを言及した直後に敬語で返されてあたことと、やってしまったって顔の赤葦さんが面白くてつい笑ってしまった。
私が静まると、赤葦さんは一息ついてから言った。
「あまり、そういう顔をする人ではないと思っていま・・・思ってた。」
「それで合ってますよ。赤葦さんが知っている私はすっごく可愛くないやつでした。今が可愛いとも言えませんけど。」
「理由はまぁ、知ってるけど。というか俺を選ぶから月島怒ってたよ。」
「うーん、それならまだ分かるんですけど、赤葦さんを指名する前から怒ってました。怒ってなければ、月島に送ってもらいました。」
「・・・あー、あそこからか。あそこで怒った理由は分からないんだね。」
「えっ!分かるんでしたら是非教えていただきたく・・・。」
明日の気まずさを回避するチャンスを逃すまいと赤葦さんにお願いする。
月島って面倒なところあるし、私としても頼れる人と気まずいのは嫌だ。
なかなか答えを教えてくれないので?を浮かべる仕草をすると、一息置いて今度は赤葦さんが笑った。
「え、えっ?!な、なにかおかしいことしました!?」
「いや、朝日奈さんの可愛いところを知れて役得だ。」
「ええ?!いや、あの、月島の機嫌を直す方法・・・。」
「それね、そうだな・・・。」
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その後、私に助言をしてくれた赤葦さんは女子部屋の少し手前まで送ってくれて、最後に「頑張って」と告げて速やかに帰っていった。
助言もくれたし、話しやすくなったのは確かなので、結局赤葦さんを指名してよかったと思った。
「た、ただいまです。」
「おー!朝日奈ちゃんお疲れ!お菓子あるよお菓子!!」
「あっ憂ちゃん!遅かったね、廊下暗くて怖くなかった?」
「お疲れ様です。そう、怖かったから送ってもらっちゃった。」
「へぇ〜良かった!私は清水先輩と一緒だったから、憂ちゃんのこと心配してたんだよ〜。」
そう言って小さく笑う仁花ちゃんに、女友達の良さを噛みしめて両手で顔を隠すと、清水先輩が「田中・西谷感」と呟いたので、バッと通常を両手をどけて通常を振舞おうとしたが、その瞬間目に入ったのは他校の先輩達の好奇心に満ちた目だった。
「送ってもらったって、誰に?」
「お姉さん知りたいなぁ〜。」
「え、先生とかじゃないの?」
等々、思い思いに問い詰められる。
特にまずいとも思わなかったので、正直に口にする。
「赤葦さん、です。」
赤葦さんの名前を出すと、驚きの声が上がる。
そういう関係なの?という質問に焦っていきさつを説明した。
残念そうにする先輩達をよそに、私は赤葦さんからの助言をどう実行すべきか考えを巡らせていた。
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拍手メッセージ等ありがとうございます。
アニメの方が最高すぎて更新頑張れています。
最初からヒロインの幼馴染としてあるキャラを想定していたのですが、最近原作でも登場してきて、予想以上にいい感じのキャラだったので出すのが楽しみです。