20



「スカイツリーどこ?!」

「えっスカイツリー・・・?」

「あっ!アレってもしかして東京タワー?!」

「エ"ッ・・・」

バスを降りて眠いし身体が痛かったけど
前の時も聞いたようなリアクションで目が覚めた。
日向くんは元気だなぁ・・・そして研磨が困ってる・・・。

森然高校は一度来たことがあるなぁと思って正面階段を見上げると、
音駒のハーフの子が下りてきていた。

「身長伸びたかー?!」

「たった2週間で伸びるか!!」

「俺は2mm伸びたぞ!」

「ガーン」

日向くんすごい見上げて話してて面白い。
ていうかふらふらバスから降りて歩いてたら一人になってた!
どうしたもんかと考えていると誰かに方をつつかれた。

「研磨・・・2週間ぶり」

「腕、どう?」

研磨は小声で言った。
結局あれからLINEで腕を怪我して烏野のマネージャーをやっている経緯を大雑把に話した。
元いた高校が隠しているので原因こそ言わなかったけど、研磨のことだから察しがついているだろう。

「ちょっとずつ良くなってるみたい。」

私は少し苦笑いで答えた。
別に嘘じゃなかったけど、なんとなくそんな顔で答えてしまった。
それで悟ってくれたんだろう、それ以上なにも聞かず、「今回も頑張ろうね」と言って去って行った。


第一体育館に行くとすぐに梟谷と練習試合が始まった。

「あの変な速攻くるぞ気をつけろ!」

「置いてくる・・・置いてくる・・・」

影山くんの調子がおかしいぞと思ったら日向くんのファインプレー。
二人はお互いを見て驚いた顔をしていた。
喧嘩した日から同じコートになっていなかったから、お互いがやっていたことを今知ったのだろう。
置いてくるトス。
日向くんの速攻のスピードを生かしたまま実現するには難しい技だ。
私もあそこまでの動きをするスパイカーに”置いてくるトス”で合わせたことはない。

他の選手たちもとにかく新しいことを試す試す。
見事にかみ合ってないけど今こういう機会に挑戦するべきだ。
この合宿でまた烏野というチームが成長できたらいいな〜なんて思いながらドリンクを用意したり、ノートをとったりした。

(あそこのメガネのブロッカーも含めてね。)


練習時間が終わった後、烏野のみんなはペナルティで走りに走りまくった疲れで地面に転がっていたけど、
作業しながら聞いていた感じみんな自主練をしていくようだった。
洗い物もひと段落してふと顔をあげると一人宿舎の方向に歩いていく姿が見えた。

月島・・・。
月島が家に来て過去を打ち明けたとき、なんとなく合宿には期待している感じだったけど、
いざ来てみるとキラキラ、ギラギラしまくってる回りにかなりイラ立っているのが分かる。
今日は話すらしていないし、いっちょ声でもかけてみるか。
私ってばいつからこんな怖いもの知らずに・・・と思ったけど月島に話しかけるのに不思議とそんなに勇気はいらなかった。

「よっ。」

「・・・朝日奈。」

「もう帰るの?」

「・・・がむしゃらにやればいいってもんじゃないからね。」

そういって月島は自分が来た先をチラっと見た。
なんだ、ちょっと迷ってるんじゃないか。
それであればいいやと思って、お疲れ、と言おうとした瞬間。

「―あ!チョットそこの!烏野の!メガネの!」

声の方向を見ると、音駒の黒尾さん、梟谷の木兎さんがいた。
とんだ大物同志で自主練しるもんだ・・・。
そう思ったのが顔に出たのか、勘違いした黒尾さんがニヤニヤしてからかってきた。

「あぁ〜ちょっとメガネくんにブロックお願いしようとしたんだけど、お邪魔でしたかネ〜。」

「「そんなんじゃないです。」」

ハモった。


prev next