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記憶の刷込
(美形×平凡/ヤンデレ)

24

「俺は、親友だった、いや、親友の春日旭(かすがあさひ)の代わりに轢かれたんだ」
「・・・」
「まだ、記憶がぐちゃぐちゃで、所々何が何だか分からないところがあって、本当に俺が代わりに轢かれたのかどうなのか確証がないけど、」
「・・・」
「俺が轢かれたっていうのは、本当だろ。それが何よりの証拠だ」
「・・・ああ」

頭の中はごちゃごちゃしているけど、恭君が抱き締めてくれているお蔭で、思っているよりも混乱していない。

「恭君、知っていたら教えてほしいことがある」
「春日の居場所だろう。どこに居るのか知っている。今、この高校に通っていない事も、な」

通っていない事は俺も分かっていた。校内で一度も見ていなかったからだ。だけど、それ以上の情報を恭君は知っているように見受けられた。

「今週の土曜日、俺に付き合ってほしい。春日のところに連れて行ってやる」
「連れて行く?」
「ああ。事故後、彼は両親の転勤の都合で、県外の学校に通っているからな。ハンドボールをやっていたのだろう?きっと、其処でも続けているだろうから、土曜日とはいえ、運が良ければ校内に居るだろう」
「恭君・・・」
「俺はお前が入院していた時、頻繁に病院へ足を運んでいたが、一切彼の姿を見ていない。お前も事故後から連絡を貰っていないのだろう?」
「そうだね、確かに言われてみればそうだ」
「青葉が会いたいと言うなら、俺は連れて行く。どうする?」

事故に遭った俺に一切会おうとしなかった親友の春日。
負い目を感じているのか、きっと春日は俺に会いたくないと思う。春日が俺に会いに来るとすれば、彼が俺と向き合う決心をした時だ。それがいつなのか分からないけれど、もしかしら一生そんな時が来ないのかもしれない。

「俺、行きたい。俺から会いに行って言ってやるんだ。顔も見せないで居なくなるなんて、親友としてどうかと思うぞって。だから、連れてって、恭君」
「ああ、分かった」

向き合ってコツンと、額と額を合わせる。
お互い笑い合い、その日は別れた。恭君も家にあがってほしかった理由は何処かで二人っきりになれる場所を探して、記憶の事を聞きたかっただけの様だった。スッキリした俺らは其々の家へ帰宅した。



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