分かってるさ、ボクはブサイク。
親は居ない、戸籍も無かった、だからもちろん名前は後付け。
ナルシスト気取ってバカみたい。だって総帥が神話の事知らないなんて、そんな事あるわけないでしょ？
ヘパイストスがどんな神様なのかボクだって調べたんだ。びっくりしてちょっとがっかりしたけど、まあ皮肉にもボクにぴったりだったわけなんだよね。
だから本当言うと貞のこともちょっと嫌い、って言うより妬ましい感じ。だってボクが神話で読んだヘラは、凄く美人で女神の頂点に立ってる神様で、それで極めつけにヘパイストスが嫌い。ヘパイストスは「脚萎え」で「醜い」からいらないんだって。
いくらボクでも分かってるんだ。貞とヘラは違うって、全然別の人間だって事くらい。
ただ、最近は貞の顔を見る度にボクはどうしようもなく自分が惨めになるんだ。
本当はすごく羨ましい。まっすぐな髪の毛も白い肌も高い身長もまだ声変わりしてないその声だって、全部全部全部羨ましいんだよ。
昔何かで読んだんだ、ナルシストは自己嫌悪の裏返しだって。今更だけど大当たりって、気付いた。
貞、ねえ貞、ボクにも貞の良いところ、分けてくれないかなあ。一つくらいボクだって欲しいんだ。バカみたいに自己陶酔ナルシストの真似事もいい加減疲れるし、ボクは本心から自分のこと好きになりたいんだよ。本当はボクはボクが好きで好きでたまらなくなりたいよ。
この世界一のブサイクナルシスト、一体いつまで調子乗ってるつもりなの？もう真似事だろうが演技だろうが取り返しのつかない所まで来てるの分かってるの？
「ボクは誰よりも美しいからね」
また陰で笑われてる。失笑されてる。当たり前みたいにそんなキャラのボクだけど、頭の中でループしまくって、また自己嫌悪して、ついでにまた調子乗って、自己嫌悪がループループなんだ。ねえどこまでバカなの？この、ブサイク。
照美と貞と豊がまたゴールを決めた。いつもボクは後ろで見てるだけ。世宇子だとディフェンダーはあまり動かないね。
上着が欲しいな、秋も暮れてくるとなかなか風が寒いんだ。あとはそろそろ雪が降るかな？もうすぐ冬が来るばかりだけど、未だに雪はちょっと、楽しみなんだ。