◇スコール
佐森さんには「指先が触れた」で始まり、「さようならは言わなかった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば1ツイート(140字程度)でお願いします。
指先が触れた。
実際は触れたような気がしただけで、触れていないのかもしれない。
けれど縋るように伸ばしてくるその腕に触れる真似事をやめることができないのは、目の前にいるスコールがその端正な顔を泣くことしか知らない子供のようにくしゃくしゃに歪めているからで。
大丈夫。またきっと、会えるよ。
どんなに言葉を尽くしてもスコールの涙は止まらない。ああ、そういえばこの子は泣く子だった、なんて思い返す。
きっと、また会える。必要なのは別れの言葉ではない。出来るならば笑顔で。未来を望む言葉で。
さようならは言わなかった。
258文字
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