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・杉元に話を聞きに行く

杉元さんに三人の中身を確認する為、台所へ連れ出した。

「三人が誰か? どうしてそんなこと気にするの?」

…小父さんが命を狙われたことを話そうか、迷う。でも杉元さんが犯人でないまだ保証はどこにもない。

「実は…小父さんの持ち物がなくなっていて。 時間的に杉元さんは犯人じゃないと思うから手がかりを教えて欲しいんです」

嘘も方便だ。神妙な顔で頷いた杉元さんは、しっかり思い出してから口を開いた。

「俺はアシリパさんとほぼ同時にここに着いたんだ。 その時、玄関に出しっぱなしの登山靴が三足あった。 一足は一回り小さかったからきみのでしょ? あと二足のうち一足は管理人さんのだとすると、尾形と月島、どっちか一人分はどこだって話にならない?」

杉元さんはあの二人のどちらかが窃盗犯だと言い切るが、私は彼が嘘吐きでなかったことに安堵するあまり妙な笑顔を浮かべてしまった。
当然ぎょっとする杉元さんに管理人である小父さんはべつのところから出入りしている旨を伝えると、彼もまた相好を崩した。

「え〜じゃあ俺の勘違い?だね? うわ〜恥ずかしいな〜」

大きな体を縮めて照れ笑いを浮かべる杉元さんの姿が微笑ましくて、先程までの緊迫感を一瞬忘れる。気にしないで下さい、参考になりましたと慰めていたその時だ。
バンとけたたましい音を立てて、アシリパちゃんが台所へ飛び込んできた。

「大変だ! アイツが猟銃を持って外へ飛び出して行ってしまったぞ!」

…アシリパちゃんの言うアイツが誰か、直ぐに分かった。
そうかただ逃げるだけでなく、自殺の線もあったのだとこの時初めて気が付いた。
どこか遠くから響いてきた銃声に膝を着く。小父さんを殺そうとしたことは許せないけれど、死んで欲しくなかったのに。
…真っ先に犯人の、彼のところへ行っていたら間に合ったのだろうか。
そんなことを考えながら、私は小父さんのところへ向かった。せめて小父さんだけは死なないで。