小説 | ナノ



「さもーん!止まるか降ろして!」
「無理だ!」
「え!?なに言ってんの?ねぇ!あっち戻ろうよ。帰れなくなっちゃうよ!」
「いや、こっちだ!」
「ちょっと!」

偶然会った作兵衛と三之助と立ち話をしていたら、突然わたしは左門に担がれそのまま連行された。
その小さな体は止まることを知らず、私を乗せてぐんぐん走る。

「どこ行くの!?」
「どこでもいい、作兵衛も三之助もいない、遠くだ!」

風がびゅうっと吹いた。
左門の言葉が意味するところを理解したわたしは文句ばかり言っていた口を閉ざす。

「……行き過ぎないでね。」

おう!
元気に声をあげて笑った左門に赤い顔を見られないよう、私はそっぽを向く。
ねえ左門。でも、もうちょっと、わたしの火照りが冷めるまで止まらないでいいからね。

スパ/イダー song by spitz

11/10/30~11/11/12(神崎)

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