扉が開いた筈なのになかなか入ってこない。
不思議に思って扉の方を振り向いたら居たのはお客様じゃなかった。
かつて地獄の番犬と言われたケルベロスの末裔で僕の番犬、ビリーが立っている。
僕と目が合うと嬉しそうに尻尾を振って駆け寄ってきた。


「ライカライカっ!居なくて寂しかったっ!」

「あっ、こらぁっ、ひぁっあっあぁっ!まてっ、まってぇっ」


いきなり飛び掛かってきて体を舐め回してたけど待てを聞くなり長い舌を離して僕をじっと見下ろしてくる。
寂しいって目で訴えてくるのは反則だよ。可愛い愛犬に見られたらつい甘やかしたくなっちゃう。
お客様じゃないけど丸一日構えなかったし飼い主として愛犬の面倒も見なくちゃね。
それにお客様が来る前の少し腹ごしらえしないとお客様を満足させられないかも。


「んっ、びりぃ…それ、とってぇ」

「どぉれ?あっ、ハチミツっ!」


手錠に繋がれたままボトルを指差してビリーに教えたら嬉しそうに尻尾を振って取りに行った。
戻ってきたビリーは大好物の蜂蜜が入ったボトルを運んで僕の手元に置いて期待に目を輝かせて大人しく待ってる。
ビリーは本当に従順で凄く可愛い。


「びりぃ、いいよっ…」

「わぁいっ!ライカとハチミツ食べるーっ」


キャップを開けてお尻を突き出せば器用にボトルを咥えて先の長いノズルをひくついてるケツマンコに押し込んできた。
ビリーが柔らかいボトルを甘噛みする度にとぷとぷと蜂蜜が注ぎこまれてく。


「はぁんっ!あっあぁっ、はちみつっおくまでっきちゃうぅっ…」

「はぅっ…全部、入ったぁっ。ライカっ、いーい?」

「んっ…こぼれちゃうからっ、はやくぅ」








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