体を起こして部屋の中を見渡してお菓子が残っていないかを確認する。
うん、キャンディ一つ残ってない。
最後はちょっと投げ遣りっぽくなっちゃったけど全部配って接客したんだから大丈夫…だよね。
そのままポールに持たれて座っていると午前0時を告げる鐘の音が響き渡った。

今日はもう10月31日。
皆大好きなハロウィンの始まりだ。

鐘が鳴り終わると同時に小屋の扉が開いた。
月明かりに照らされて入口に立つ人は楽しそうに笑った。


「Trick or Treat.」


分かっているのに僕に尋ねて歩み寄ってくる。
僕も、多分お母さんもお菓子を全部売りさばいた。
この家にはもうお菓子がない。
皆、この家からお菓子を奪う為に買い占めてくれたんだもん。
僕の前に跪いた訪問者に脚を開いて今日一日の事を考えて笑みが零れた。


「お菓子はもう残ってないから悪戯して?」



今日は待ちに待ったハロウィン。
僕の大好きなハロウィンは始まったばかり。
お菓子はないからその代わりに、好きなだけ僕に悪戯を。




fin.




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