カイルが帰ってから結構時間が立つのに誰も来ない。
まだお菓子が余ってるから来る筈なのになぁ。
万が一、売り残してしまったらお母さんにどんなお仕置きをされるか…!
お母さんの恐ろしいお仕置きを想像して泣きそうになっていると入口の方からノックが聞こえた。


「やぁライカ君、こんにちは。いやもうこんばんはかな?」

「おじ、さん…?」


相変わらず作ったような笑みを浮かべてお父さんの旧友のロバートおじさんが白衣の裾をはためかせて歩み寄ってきた。
さっきカイルが言ってた白衣の男はおじさんの事。
おじさんはいつも白衣を着ている自称天才ドクターで実は瀕死状態だったトミーを蘇生し改造した凄い人だったりする。
でも日頃の行いの所為で皆はおじさんを変態マッドドクターだと言ってる。


「さぁライカ君、私にもお菓子をくれないかな?頭を使うと甘いものがほしくてね」

「お菓子、なら、あそこに…」


繋がれた手を動かして何とか部屋の隅のお菓子袋を指差したのにおじさんは笑ったまま僕に近付いてきた。
笑っていない紅い瞳が真っ直ぐと僕を見下ろす。


「ライカ君、私の甘いお菓子は君なんだよ」


そう言っておじさんはしゃがむなり唇を重ねてきた。








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