第三話
先ほどの教室にやって来た。まりあに聞きたいことがあったからだ。
ああ、いた。可愛らしいツインテールの少女が。
「あら、月子ちゃん。武器は見つかりまして?」
「いや、今探してるところ。それより、まりあに聞きたいことが──……!」
聞かずとも、まりあが握っているものが答えだった。まりあがどんな武器を持っているかを訊ねようとしていた。
「大きな、鎌……」
小柄な彼女がそんなものを振り回す姿など想像出来るわけがない。相変わらずまりあはにこにこ笑っている。
「この大鎌はわたくしの相棒なのですわ。…月子ちゃんの邪魔をするのも容易ですわね」
「私の、邪魔?」
返事の言葉ではなく、飛んできたのは大鎌の一振りだった。条件反射で私は大きく跳んだ。…どうしてだろう?運動は得意じゃないのに、軽々何メートルでも跳べそうだ。
「わたくしたちは、あなた方の邪魔をするとポイントが溜まりますの!だから、気を悪くしないでくださいね、月子ちゃん!」
「っ!」
「月子ちゃん…あなた、機動に長けてますわね。アドバイスを差し上げますわ。あなたにお似合いの武器─それは、拳銃ですわ」
「拳銃……?」
「ええ、二丁拳銃なら尚良いと思いますわ」
まりあの攻撃が止むことは無かったが、彼女は私に適切なアドバイスをくれた。私に合うのは、拳銃、それも…二丁。
「ありがとう、まりあ…!」
まりあの頭上を跳んで、彼女から逃げる。「まぁ!」と驚いた声を上げていたが、柔らかい笑みを浮かべていた。
探すのは、二丁拳銃。
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