鈴木氏─鈴木学園の創立者だ。説明会の時には何故か不在だったから、会うのは初めてだ。どんな人物なのだろう。
鈴木氏のいる部屋の扉の前には多くの生徒たちがいた。30人はいるだろうか。いや、もっとか?

ギギ…と音を立てて扉が開いた。入れ、ということなのだろう。部屋に足を踏み入れた。
部屋の中は真っ暗だったが、この人数が全員入れるというのは余程広い部屋なのだろう。最後の一人が部屋に入ったのと同時に扉が閉まった。
みんなの不安そうな声が聞こえてくる。中には啜り泣くような声もあった。


「ようこそ〜鈴木学園へ!」


声が響いたのと同時に灯りがついた。私たちの目の前にいるのが───。

「私が鈴木です」

いやいや、待て待て。人間?人間じゃないだろう。誤って蹴ってしまいそうなサイズだろう。30pあるかないかの人形じゃないか?

「今日からみなさんには、鈴木学園大戦争に参加して貰いま〜す!あ、強制ねコレ。さ、自分たちで理解するまでしっかり呼んでね〜。まぁ、ここへ入ることが出来たみなさんなら理解出来る筈だよ〜!」

全員にタブレット端末が配られた。画面をスライドすると鈴木学園─いや、鈴木学園大戦争の説明が書かれていた。


「…鈴木氏、質問があります」
「おや、早いね〜!もう読み終わったのかな〜?闇城さん」
「武器というのは…どうやって手に入れるんですか?」
「今から話そうと思ってたよ〜!良い質問ですね〜!」

こほん、と鈴木氏が軽く咳払いをした。

「今からみなさんには宝探しをして貰いま〜す!宝というのが武器。学園中、色んな所に武器を隠しました〜。ただし、人数分しか用意していません。この宝探しは全員が宝を見つけるまで終わることが出来ません」

武器を探せば良いのなら簡単だ。みんな口々に言う。不思議と学園を辞めると言う生徒は一人もいなかった。


「それではみなさん、行ってらっしゃ〜い!」

このとき私たちは知らなかった。鈴木氏がニヤリと笑ったことを。





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