ピンポンパンポーン

『新人の皆さんが武器を手に入れたようなので、トーナメント表を早速作りましたよ〜!後でタブレットで確認してね〜!』


みんなが一斉にタブレットを開いた。私は構わずまりあを探していた。

「あら、月子ちゃん」
「まりあ…!」

まりあは相変わらず不似合いな大きな鎌を持っていた。人形のように小さくて可愛らしい彼女が何で大きな鎌なのだろう。

「月子ちゃん…二丁拳銃を貰えましたのね。妨害は受けまして?」
「あ……えっと……若王子まことくんが」

私がその名を口にした途端近くにいた女子たちがワッと集まった。状況が理解出来ない。

「プリンスに会ったの!?」
「喋った?」
「プリンスがいたってことはナイトも一緒だったよね?」

プリンス?ナイト?
クエスチョンマークを頭上に浮かべている私にまりあが説明してくれた。

女子の間では、若王子まことくんはプリンス、岸辺くんはナイトと呼ばれているらしい。
なんでも、若王子くんは御曹司。それでいて、性格も王子様なんだとか。名前にも王子って付くし、納得。
岸辺くんは、プリンス─若王子くんを守るかのように常に傍にいるんだとか。そして岸辺の岸…騎士…という感じでナイト、らしい。こじつけな気するけど、まぁ解る。

「そんなお二人とお話したのだから、女の子の注目の的よ」
「…なるほど」
「でも、まことくんが妨害なんて初めてじゃないかしら…。ああ、そうだわ。月子ちゃん、トーナメント表は確認されまして?」

トーナメント表…すっかり忘れていた。まりあに報告しなきゃって思っててそのまま…。…何で私はまりあまりあ言ってるんだろう。友達なんて作らないって決めていたのに。

「月子ちゃん?」
「…ごめん、まりあ。私のことは放っておいて!」

心配そうにするまりあの手を私は払い除けた。周りにいた生徒の話声が止まり静かになった。


…友達なんか、要らない。


下唇を噛んでその場から逃げるように走った。



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