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わがまま殿下





「あぁ、ティリア!ちょうど良いところに」
「…カストル?」
「殿下から、スコルピオス殿下に、と」
「また?いくら誘ってもウチの殿下は宴には行かないわよ」
「とりあえず、持って行け」
「はいはい、まったく。レオンティウス殿下も懲りないんだから」


カストルからの手紙を受け取り、その場を後にする。

私の殿下…つまりスコルピオス殿下は、妾腹の子だからと宴には参加しない。しかしレオンティウス殿下は毎度毎度、義兄を宴に出そうと必死にこうやって手紙で説得している(直接話そうとすると逃げられるから)。

レオンティウス殿下も懲りないが、スコルピオス殿下も頑固だ。似たもの兄弟、とでもいいたい気分である。
というかただのスコルピオス殿下の意地っ張りなだけなんだから!早く折れたらいい。





さて、こうやってレオンティウス殿下→カストル→私と手紙が渡ってくるわけだが、このまま殿下に渡すと私が怒られる。
この手紙をどうしようか悩んでいると、後ろから声をかけられた。


「探したぞ、ティリア」
「…スコルピオス殿下」

私に声をかけたのは、今まさに私が持っている手紙の最終到着場所である人物――スコルピオス殿下だった。

「まったく、戻って来んと思ったらこんなところで道草とはな」
「申し訳ありません…」

頭を下げて謝る私。
私が持っている紙に気がついたのか、殿下は私から紙を奪い取った。

「ラブレターか?」
「ちっちがいます!」
「だろうな。お前は私のものだからな」
「殿下にです。レオンティウス殿下から」
「またか…」

手紙の内容がわかったのか、はあ、と大きいため息をついて手紙を私に返してきた。
いつも通りに私が処分すればいいのだろうか。何も言わないところを見ると、それで良いらしい。殿下はくるりと方向転換をし、元来た道を戻っていった。
私は手紙を処分するために逆方向へと向かおうとした。刹那、腕を掴まれる。

「どこへ行く」
「え…手紙を処分しようと思いまして」
「誰が宴に行かぬと言った」
「い、行くんですか?!」
「お前が選べ」
「は?」

殿下はニヤリと不適な笑みを浮かべて顔を近づけてきた。



「私と宴へ出席するか、仕置きで一晩、私と共にするか。お前に選ばせてやろう」


それはもちろん、宴へ出席してもらいたいものだ。しかし何故私が一緒なのか。私は絶対にでたくない。
しかし、お仕置きをされるのは嫌だ。顔からしていつもの性的なお仕置きよりも過激にする気だ。
だったら共に宴に出席した方がまし。

「もっ もちろんご出席なさった方が、レオンティウス殿下がお喜びになるはずでは?」
「…そうか。では、」


つまらん宴の前に、楽しい宴を済ませておこうか?

そう耳元で囁く殿下の顔は、とても楽しそうに見えた。
あぁ、結局は性的なことはされるのね。

Moiraよ、これは貴柱が私に望むことなのですか…。









楽しい宴が済んだ後、スコルピオス殿下が宴へと顔を出したことに皆が驚き、レオンティウス殿下はたいそう喜んだそうな。
スコルピオス殿下は腰を押さえた女を側において。




わ が ま ま 殿 下

(もーカストルには私経由であの手紙を渡すのをやめてもらわないと!)(このままじゃ私の身体がもたないよ…)(お仕置きされる人の身にもなって!)




――――――――
Romanの黄昏〜の若本ボイスを蠍さんに言わせてみたかっただけです(笑)

鬼畜スコピにすると多分オチがほぼ性的な感じになりそう。


書き終わり 2009.03.08.
加筆修正 2011.09.05.
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