「宮大丈夫かなぁ」「大丈夫でしかないやろ」「自分よりうまそうな子に絡んだりしてないかな?」「そっちかい。嬉々として絡んどるやろな」「大丈夫ちゃうやん。帰ってきたら標準語なってたりするんかな」「あいつは周りを関西弁にするタイプやろ」「あはは!そやな。…帰ってくるかな?」「帰ってこーへんかもな」「……」「寂しかった?とか言いながら帰ってくる」「そしたら治はなんて返事するん?」「はよお土産だせ」ずっとしていなかった侑の話をして、きゃっきゃと笑いつづける姿を久しぶりに見た気がする。かわいいみょうじはもう侑が関わらないと見られないものになっていた。人っぽさのようなものが薄かったみょうじにいろんな顔をさせるのはいつも侑だった。
「みょうじ、あんな、今ツムは外で毎日トロ食うとるよーなもんやねん」
「うん?」
「帰ってきて、はーやっぱり家のメシがいっちゃんええわーって思わせたろや」
「どーゆー意味!?おなかすいたん!?」
「うん腹減った、オカン」
「誰がオカンや。放課後コンビニ行ってなんか半分こしよかぁ、サムちゃん」
「アイス食お、アイス」
「真冬だろ。みょうじさんに風邪ひかせる気か」
「角名くん、真冬こそアイスやで!」
「関西こわ」
おもしろいことをしようと笑うみょうじは窓からさしこむ金色みたいな光の色がよく似合う。ずっとこの光のところにいてほしい。俺のオカンで姉で妹みたいな友達で、それから、侑の大事な子。
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