幸せを知ってしまった不幸に満たされて、やりきれない感情をぶつけてかわされたくなった。そんなこたーどうでもいいんだってあの白衣にいなされたい。

「帰りませんよ先生が慰めてくれるまで」
「じゃあ鍵置いてくからお前が閉めろよ、さよーなら」
「待って」

白衣を引っ張った。爪を掠る感覚が嫌いでできればあまり触りたくないのに。

「帰りたくない」
「帰んなくていーけど先生巻き込むのはやめて」
「夜になると生まれたことが嫌になる」
「思春期だすぐ終わる」
「幻みたいな記憶を思い出しながら生きていくのかと思うと生きる意味が無いように思えました」
「つーことは幸せなんだろ良かったねえ」
「……」
「違う?」
「わかってるつもりなんだけどね」
「じゃあもう俺に頼んな帰らせろ」
「……」
「生まれてきて良かったね」

それとも記憶は幻みたいになるから味わう瞬間が大事だから生きるのか。


090119


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