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せっかく我が儘を聞いてもらえたのに結局は自転車競技部の部室に足を運ぶことになりました



『真波くんのせいで話が全然進まないじゃん!バカヤロー……』



なんてブーブー文句を垂れながらも気の乗らない部室への道を進むと予想以上に静かでこれは良いタインミングで来たのでは?と少し心が弾んだ。

部室に着いたことには着いた。
だがこの携帯をどうやって真波くんに渡せばいいのか…
練習の邪魔はしたくない。でも渡すためには部室を覗かなければならない。



『どうしようかなぁ……』

「ンァ?テメェ昨日の……」



ポツリと呟くと同時に後ろから声が
バッと振り向くと昨日バイト先で出会った人がいた



『あぁ昨日の…えっと……荒北さん?でしたか?この学校だったんですね』

「ンで名前…あぁ、ていバアか…こんな奇遇ってあるんダネェ
で、なにしてんのォ」

『あっ!!ごめんなさい。ここにいたら練習の邪魔でしたか?』

「いや、帰ってきたとこだから平気だヨ」

『それは、それはお疲れさまです』

「おぉ……」

『…………………』

「…………………」

『…………………』

「…………………」



ってなんですかこの空気!!
耐えられない耐えられない耐えられないです!
でもここで真波くんに携帯渡しといてもらえますか?なんて空気読めない頼みごとはしにくい
だからと言ってじゃあ!なんて切り返しにくい
真波くんのバカヤロー!!!!!!


1分なのか10分くらいたったのかわからない沈黙
誰でもいいから助けてくれと切実に思うが沈黙は続いたまま

そこへ一台のロードが私たちの方へ近づいてきた



「おー靖友もう帰ってたのか!!」

『「!!!」』

「新開!おっせーよ!!」

「おっと、何をそんなに焦っているんだ?」

「ウッセ!」

「ん?オメェさんは?」



荒北さんとの沈黙を破ってくれた救世主さんと目が合い本当に救われた気持ちだった
今回こそ本来の目的をと思い真波くんの携帯を見せた



『あの、真波くんの携帯を届けにきたのですが』

「真波の?あぁアイツまた携帯持ち歩いていないのか…わざわざすまないな」

『いえいえあの馬鹿がバカヤローなだけなんで』

「ククッあの不思議チャンをバカヤロー呼ばわり」

「靖友…もうアイツも帰ってくるはずだからここで待っていたら……っと帰ってきたな」




そう言って救世主さんが指を指す方を見てみるとキャーと黄色い声と共に2人のロードレーサーの姿が


あぁ真波くんこの数分で私は何回真波くんと言ったことやら…

あなたはバカヤローじゃないですね


ただの疫病神です



なんで東堂さんと一緒にいるのさ!!






―――――――――――
「あっれー?ななしのさんだ。おーい」
「おっなんだ真波、お前にも春が来たのか!?」
「何言ってるんですが東堂さんー。頭に春が来てお花が咲いてるのは東堂さんでしょ」
「むむっそれはどういう意味なのだ?」
「東堂さんはカッコいいですねってことですよー」
「ははっそれはそうであろう!!スリーピングビューティーなこの俺東堂には花が似合う!」
「そうですねー」


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