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クラス内の自己紹介で、意気揚々と自分がアニメや漫画が大好きなオタクであることを名前と一緒に言った。
それはもう、内心ではみんなに引かれないかヒヤヒヤとしながら。
でも予想とは裏腹に、何の漫画好きなのー?や俺〇〇好きなんだよなぁ!なんてクラスみんなで盛り上がるきっかけを作ることができ、今まで隠していたがなんで一言勇気をもって言わなかったのだろう……
という後悔とこれからは堂々としていていいんだという何とも言えない喜びが胸を熱くした。
そして入学から1週間、無事クラスで友人もでき高校生活を満喫していた。
「おんなのこは何か部活するの?」
『んーバイトがあるし、部活どころじゃないかなぁ
杞紗さんは?』
「私は美術部」
『意外だねぇ…』
「そう言われても趣味は止められないのさ」
『そんな杞紗さんが大好きですよ』
昼休み、仲良くなった烏丸 杞紗さんとゆっくりとしていた。
杞紗さんはあまり近寄りたくないやんちゃそうな見た目をしているが、こっち側の人間で自己紹介の時から趣味話で意気投合し常に一緒に行動するようになった。
そしてもう一人、
「へぇななしのさんは何のバイトしてるの?」
『あっ真波くんおはよー』
真波くんとは席が隣なこともあり私達3人はよく一緒にいる。
「おはよう。烏丸さんちょっと席使っていい?」
「遅刻してくる奴に席はいらないだろ」
「烏丸さんは冷たいなぁ」
『また宮原チャンに怒られるよ』
「んー実はもう怒られた後なんだよねぇ」
「反省しなきゃ意味ないだろ」
「でも、山が呼んでるからしょうがないんだよね」
「チャリで山登るとかマジないわぁ」
「生きてるって実感できるからね」
「出たよ不思議チャン」
「烏丸さんは日に日に荒北さんに似てると思うよ」
『自転車競技部の先輩だっけ?』
「うん。一度見に来たらわかるよ」
「あぁぁぁパスっ!!私東堂ファンクラブには近づかないことにしてるから」
『遠くで見るのがいいよねー』
「そうそうおんなのこはわかってるね」
杞紗さんに頭を撫でられていると残念だなぁなんて真波くんが言っていたが可憐にスルーし午後の授業が始まった。
こんなほのぼのな毎日
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「あ…鞄忘れてきたや」
『また!?もう教科書全部学校に置いておきなよ…』
「明日からそうするね。だから見せて」
『明日持ってこなかったらもう見せない』
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