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拝啓 等身大ハラキタさんパネル様
会えない日々が続いておりますが元気にしていますでしょうか
本日箱根より地元に帰って参りました
あなた様のお顔を拝見できることを心待ちにしております。
前置きはここまでにし、本題へと参りたいと思います。
私の不甲斐ない行動が原因であなた様の死刑が今決まりました
どうか、この心の声が届いているならば
今すぐ逃げてーーー!!!!!!
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さて、私の顔は誰がなんと言おうと真っ青でしょう…
あぁ……バレないなんて思ってなかっですよ?思ってなかったんです。
でもね、こんなに早いとは思わなかった
レースには無事間に合い私たちは山頂のゴール前で待機をしていた
レースの締め括りはいつも華やかで緊張と高揚感がこちらにも伝わり大好きなポイントだ
今まさに一番速いレーサーが登ってくる
会場は沸き上がり声援も止まらない
雰囲気に飲まれながら我も負けじと応援に参戦する
そこで見たものは汗を流し、誰よりも速く静かに走り抜ける見知った人間
あぁ…どうして気づかなかったんだ
耳をよく澄ませば『山神』やら『東堂』といった名前が聞こえてくる
これはヤバい…会えば確実に顔見知りだということがバレる
四方を見ても逃げ道などあるはずもなく、確たるうえは東堂さんに会わずにここを去ること
と、なれば今すぐにでも裕介と迅くんに帰ろうと提案しようとする
『すごかったね!さっ帰ろう!ねっ帰ろう!』
「ん?おんなのこがすぐに帰りたがるのは珍しいな」
「どうせアニメかなんかショ」
『えっ…や…違………』
「録ってるんだろ?いつでも一緒に見てやるからあいつに挨拶に行くショ」
「巻島…お前えらいな…」
「行かなかったら煩いんショ」
「田所っちはどうする?」
「俺は夕方配達があっから先に帰るぜ」
『(迅くんナイス!グッドタイミング!)それなら私も迅くんと「ダメっショ」
『!?なんで!?』
「どうせこれから一緒に帰んだからおんなのこは俺と来い」
「おお巻ちゃん!見に来てくれたのだな!」
「見に来なかったらお前煩いっショ」
「いやいや、そんなことないぞ!ん?そちらにいるのは……おや、箱根さんではないか!わざわざ俺の応援に来るとは君もファンクラブの一人だったのだな!いやー今までの冷たい態度も恥ずかしさ故だったのだな!」
『んなわけないじゃないですが。』
「うんうん。恥ずかしがることはないぞ!」
『だから自意識過剰ですってば』
「東堂……こいつのこと知ってるのか……?」
「ん?もちろん知っているとも!箱根 花子さんであろう?俺のファンだそうだ!」
『本当!余計なこと言わないで下さい!で、さっきも言ってますがファンじゃないです!』
「…おんなのこ、説明出来るよな?」
さっきまでの私に甘甘の態度は何処へやら
裕介の笑顔が怖い………
右には怒りを表に出した裕介
左にはこの怒りの原因である東堂さんは状況がわかっていないのかキョトンとした顔をしている
あぁ…そのお顔綺麗ですね
今はひっぱたきたくてムズムズしますが
「巻ちゃんなにやら顔が怖いようだが……もしや箱根さんは巻ちゃんの思い人!?」
「東堂は黙ってるっショ!で、どういうことだ?教えろ」
『えっと……あのですね……まぁいろいろありまして………あっ口癖のショが消えてるよ?』
「おんなのこ?」
『はい!ふざけてごめんなさい……
えっと……実は………』
隠しても無駄だと言うこと。東堂さんとの出会いから偽名を使っていたこと頑張って約束を守ろうとはしていたことを全部話した。
「ハァ…状況はわかった」
「ということは、本当はななしの おんなのこさんと言うのだな。巻ちゃんとの約束を守るためにいろいろしてきたと。冷たかったのもそういうわけか…にしても嘘はいかんぞ嘘は」
『すみませんでした………裕介もごめんなさい』
「今回は俺がおんなのこに強制しすぎたことが原因ショ
悪かったな東堂…
おんなのこも……本気でお前の大切なハラキタさんを壊そうとは思ってないショ……ただお前が心配で」
『裕介…!!』
怖かった雰囲気も消えいつもの私に甘い裕介に戻っていたので思わず抱きついてしまったが裕介は受け止めてくれた
「うむ。これで解決したようだな!では改めてななしのさんこれから仲良くしようではないか!」
「お断りっショ」
「な、何!?巻ちゃん!!ここは和解して手を取り合う場面であろう!!」
「知り合ってしまったものはしょうがねぇ。が、仲良くすることは別ショ。おんなのこはやらねぇ!」
「巻ちゃん………過保護にも度がすぎると嫌われるぞ……」
「煩いっショ!」
斯くしてハラキタさんの命は救われたのでした
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「ところで巻ちゃんとななしのさんはどういう関係なのだね?」
「秘密っショ」
『えっ…じゃあ秘密で』
「何故だ!?」
h26.10.11
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