荊華院当主覚書 | ナノ

覚書


初代
蕉子(しょうし)
????〜1090
伴侶:?
その美貌から実の母親に鬼女と蔑まれていたが、たまたま現人神の目に留まり入内。しかし当時の現人神と中宮、その他蕉子の周囲の女御たちが次々と謎の死を遂げ、真の鬼女として恐れられ内裏を追放される。その折に鬼の怒りを鎮めるためとして女院号"荊華院"を授けられ、貴族の一端として独立を果たす。
いつも微笑み、何を考えているか分からない女だったという。鬼曰く、「本物の鬼すら出し抜く鬼女」。
《彼岸花、鬼》


二代目
不見穂(みずほ)
1075〜1109
伴侶:由良
生まれつき視力が弱くいつか視力を失うことを受け入れながら、荊華院の貴族としての確固たる地位を築くことに尽力する。
真の名は瑞穂だが、完全に視力を失くした際に不見穂と字を改めた。「このほうが、僕のこと、覚えてもらえるでしょう?」と本人は言う。不見穂本人は心優しく穏やかな男だったというが、彼の行なってきた諸事の記録を見ると、どこか母親譲りの食えない思考が垣間見える。
《芒、月》


三代目
木珠(こだま)
1091〜1134
伴侶:摩訶(まか)
荊華院の地位を上げる為なら手段を問わず、異形の化物を招き入れる。「お前たち化物全員、俺がまとめて飼ってやる」という彼の言葉は記録の端々に残されており、彼の尊大な性格を窺い知ることができる。また実際、彼の代で荊華院の地位は日本で五本指に入るところまで高まった。
妻の摩訶は化物の長であり、その人外的な美しさに惹かれて前述のような暴挙に走ったのは言うまでもない。
《鬼灯、ハイエナ》


四代目
枸橘(からたち)
1106〜1152
伴侶:


五代目
紫檀(したん)
1121〜1171
伴侶:


六代目
蘭(らん)
1138〜1179
妹:鈴(すず)
伴侶:
ある雪の日の朝、彼は師と呼び慕う陰陽師から「荊華院は美しくあらねばならぬ。このままでは俗世の血が混じりその美しさが損なわれてしまうでしょう」と告げられる。そこで彼の妹の鈴が言った、「わたくしの子孫とお兄様の子孫が交わればよいではありませんか」。
彼は鈴に分家筋"季朽"の創設を命じ、然るべき時に季朽を荊華院の永遠の伴侶とすることを子供に教え聞かせたという。ここに、かの番い制の基礎が築かれたわけだが、そのきっかけを与えたあの陰陽師、どのような者であったか記憶が何も残されていない。
《鈴蘭、雪》


七代目
椿女(つばめ)
1156〜1200
伴侶:?
女の身でありながら学問に秀で、弱肉強食・下克上の乱世の芽吹きをいち早く感じ取った才女。しかし彼女はのちに愛欲の限りを尽くした女狐・阿婆擦れ・痴女と呼ばれることとなる。というのも、彼女の子である次代当主の父親が誰であったかの記録が皆無なのである。とある武家の将軍であったとか町の外れで拾った非人だとか、当時からさまざまな噂が飛び交っていた。ただ一つ、ある侍女の日記に、彼女が毎夜異なる美丈夫を屋敷に招き入れていたことが記されている。
《椿、狐》


八代目
梛岐(なぎ)
1173〜1210
伴侶:庵里(いほり)という記録あり
この当主を彼と呼ぶべきか彼女と呼ぶべきかは誰にも分からない。ある時には武具を纏い戦に出で、ある時は単衣を纏い芸道を嗜んだ。"彼"が出た戦は必ず勝利するといわれ数多の武士が"彼"の援助を求めたが、それらを断ったのは"彼女"だったというし、"彼女"の芸を一目見ようと押し寄せる町人らを追い返したのは"彼"だったという。
伴侶の姿を見た者はいない。しかし、結納は確かに済ませたと記録がある。生前から謎の多い当主だったようだ。
《朝顔、夕顔》


九代目
稗奈(ひな)
1191〜1250
伴侶:朔
荊華院の歴史上、最も醜い女当主。といっても、荊華院内の基準であるため、一般的には美しい女だったに相違ない。それでもしかし彼女が醜いと呼ばれた所以は確かに存在する。というのも、彼女はたいそう目つきの悪い女だったそうだ。常に人を疑ってかかるように、誰をも彼をも目を見開き睨み据えていたらしい。その眉間に深く刻まれた皺が消えたのは、夫を迎えてからだと言われている。のちに彼女は、自分が若き時分から人を疑うようになったのは全て父かも母かも分からぬ親の所為だったと日記に書き記している。


十代目
梯(かけはし)
1213〜1267
伴侶:


十一代目
茨木(しぎ)
1231〜1279
伴侶:優(ゆう)
天真爛漫な女当主で、未だ不安定な世の中を上手に渡ってきた。荊華院が華の道を極めることとなったのは彼女の代からである。
周囲の反対を押し切って幼い頃から可愛がっていた異形の狐と婚姻関係を結んだ。これを機に、次代の当主からとうとう番い制が施行されることとなる。ちなみに、彼女が生んだ子は双子であったとする噂があるが、真偽は定かではない。
《野茨》


十二代目
樅路(もみじ)
1254〜1279
番い:柚(ゆず)
厭世的でどこか浮き世離れした雰囲気を纏う当主だったという。それは彼が初めて番いを利用する当主だったからというのは予想の範疇であるが実際のところはどうであったのだろう。
しかし彼は番いを伴侶に迎え子を孕ませてからまともに食事を取らなくなり、痩せ衰え、若くしてその生を終えた。この事実を踏まえると、彼が番い制に少なくとも良い気はしていなかったといえるだろう。
《紅葉、流星》


十三代目
井芹(いせり)
1276〜1330
番い:


十四代目
芙弥(ふみ)
1286〜1341
番い:


十五代目
早苗(さなえ)
1305〜1359
番い:


十六代目
櫟(いちい)
1326〜1372
番い:


十七代目
日柳(くさなぎ)
1350〜1401
番い:


十八代目
茱萸(しゅゆ)
1372〜1424
番い:


十九代目
梓(あずさ)
1389〜1448
番い:


廿代目
蕚(うてな)
1414〜1460
番い:


廿一代目
果代(かよ)
1438〜1483
番い:


廿二代目
椎堂(しどう)
1458〜1500
番い:


廿三代目
楓(かえで)
1498〜1539
番い:
アホ。各地の武将に援助をしていたようで、荊華院の財産が破綻しかけたという記録が残っている。詰まるところ、八方美人だったようだ。


廿四代目
実玖李(みくり)
1520〜1551
番い:
父親の過ちの穴埋めの為にあらゆる手段を用いて金を巻き上げ何とか荊華院家の散財は免れた。そこまでは良かったのだが、自分が荊華院を立て直したということを笠に着て女を侍らせていた。つまりクズ。さらには屋敷に仕える化物一族のうちの折という名の美しい化物に執心で、彼女を愛するあまり手酷いことをしていたという。
その後、謎の死を遂げた。化物一族の誰かが手にかけたのではと言われているが、大きく取り沙汰されていないところを見ると、彼の行ないは目に余るものだったのではないかと推測することができる。


廿五代目
莉子(りこ、りし)
1541〜1570
番い:
双子だが、史実の上では姉が当主。互いを互いの半身として深く愛していたという。
度が過ぎた好奇心を持ち、戯れのように暴虐の限りを尽くしていた。多方面から恨みを買い弟が暗殺されたわけだが、それを受けて姉は、弟の首を抱いて一週間眠ることなく、七日目の晩、「私の血もあなたと同じ色かしら?」と叫んで己の首を掻き切り絶命した。
《向日葵》


廿六代目
榛真(はりま)
1559〜1605
番い:葵(あおい)
顔があまりにも先代の双子の生き写しすぎるが故に、双子の近親相姦の子ではといわれている。その真偽は確かめようがないが、あの双子なら…やりかねない、とは思う。
生まれつき目が見えない。先代と顔が同じなのが災いし、先代を恨む連中に片目を焼かれた。
番いが自分を愛するのは務めだからであり、本心では自分のことなど愛していないのだ、といった旨を日記に書き連ねているが、後世の者から見れば彼女に愛されたい男の嘆きのようにも見える。
《ヘーゼルナッツ》


廿七代目
芳牙(かが)
1579〜1615
伴侶:沙梨(さり)
世間から華将軍と呼ばれ名を馳せた男。八代目が築いた城に住まう武家を追放したのち滅ぼし、戦国武将として屋敷を離れ入城した。
破天荒だが、誰もが彼を将軍と呼び慕っていた。実力がありながら天下を手にしようとはせず、むしろその時代の趨勢を読んで然るべき者に天下を託そうとしていたようにも見える。かの大将軍が約三百年間続く幕府を開いたのち、自分の出番は終わったと言わんばかりに城と共に焼け落ちたという。
《ジャスミン、虎、鬼》

廿八代目
蕗(ふき)
1600〜1647
番い:草吏(くさり)
《蕗》


廿九代目
槙羅(しんら)
1623〜1681
番い:


丗代目
棗(なつめ)
1645〜1679
番い:
《花火》


丗一代目
茜夏(せんか)
1669〜1715
番い:


丗二代目
柏(はく)
1690〜1740
番い:
ビビり。


丗三代目
藍生(あいは)
1714〜1763
番い:


丗四代目
苑(えん)
1742〜1780
番い:
天パに髭に瓶底眼鏡。やることやってりゃその他は手抜きで良しがモットーな南蛮大好き人間。南蛮文化をどんどん取り入れようとした。その中で南蛮オカルトに嵌まり、蛇女を喚び出してしまう。果てには蛇女を愛するように。
蛇女にうつつを抜かす当主を良しとしない過激派に暗殺される。
《ヒヤシンス》


丗五代目
菖蒲(しょうぶ)
1766〜1790
番い:
父親に息子としてではなく一人の人間として愛されたくて何故か女装癖に目覚める。女装時の名前はあやめ。
父親が暗殺されてから生きる気力をなくし、娘が二歳になって番いを処分する折に自らも命を絶つ。
《菖蒲》


丗六代目
藤袮(ふじね)
1788〜1822
番い:
物心つく前に父親を亡くし、愛情を知らないまま育つ。不安定にもかかわらず将軍政権を盲信していた。
愛情を欲するあまり廃人化。当主の座を生きながらにして退かざるを得なくなる。当主を退いたのち、何者かに暗殺される。
《藤》


丗七代目
蓬莱(ほうらい)
1808〜1852
弟:常若(とこわか)
番い:蒼(あお)
トンデモ当主が三代続いたことにより傾きかけた荊華院を立て直した。飄々とした風格を漂わせるが、根は真面目。
番いとの対面は齢十八を迎えてから、という掟があるが、幼き日に偶然番いの蒼と知り合い、幼馴染に。それも相俟ってか、蒼を深く愛していた。しかし仕来りには逆らえず、彼女を見送らざるを得なかった。
《ライラック》

丗八代目
薊利(けいり)
1837〜1888
番い:咲(さき)
《薊》


丗九代目
美桜(みお)
1865〜1900
番い:明日夢(あすむ)
《桜、夜》


代目
菫也(きんや)
1886〜1934
番い:葉子(はこ)
《菫》


一代目
葉ツ芽(はつめ)
1904〜1943
番い:鞘菊(さやぎく)
《蓮、菊》


二代目
花蓮(かれん)
1925〜2002
番い:葛波(くずは)
《蓮華》


三代目
柊(しゅう)
1948〜
番い:和香菜(わかな)
《柊、ライオン》


四代目
桐乃(きりの)
1977〜
番い:莢花(きょうか)
《桐、仮面》


五代目
薔子(しょうこ)
番い:枯羽(かれは)
《薔薇》


六代目
八千代(やちよ)
《蝶》





感謝仕候
Renaissance
モノクロ







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