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::匂坂

「ところで、今日は荊華院の令嬢が見えますよ」

「ケイカイン?」

「荊華院です。知らないんですか?我らと同じ華族ですよ」

「…あぁ、そう。で、何?荊華院が来るから警戒しろ、ってか?」

「しょうもないことを言わないでください、みっともない」

「へいへい」

「とにかく、あの家の娘なのです、丁重に迎えなさい。これは重大なお仕事、ビジネスなのですよ」

「へいへい」

「…まったく、あなたという人は。喋るオルゴールか何かですかまったく」

「ありがと!」

「褒めてません」

「ちぇ」

「さぁ、いいから早く準備なさい。その格好のままではみすぼらしいですよ。年中ジャージで過ごす少年の初めてのオシャレにさえ及びませんよ」

「え、そんなにひどい?」

「ひどいです」

「…分かりましたよ、えぇはい。まったくもう」

「それはこちらのセリフです」



 

2014.07.29 (Tue) 13:27


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