::此処に神在り 彼女はふと自分を祀る家の主が頭を抱えて溜息をついているのを聞いた。ふわりと彼の元に降り立ち、彼の顔を覗き込む。 「なしてかんまえがそぎゃんしょんげとるかや?」 「あぁ…エアイエ様……いや、落ち込んでる訳ではないのです…」 「うそこき」 一蹴。彼は再び溜息をつき、彼女の異色の目を見上げた。 「実は…息子の和舞が……」 「和舞とは勘当いたしました」 彼女の目の前にいる彼の背後に、新たな影。彼女が視線を移すと、その影の正体は目の前の男の妻だった。彼女は一重瞼にしてはぱっちりとした目を不機嫌そうに細め、ふわりと舞い上がる彼女を見ていた。彼女は目を瞬かせ、「あだん」と一言感嘆の声を漏らした。 「日和……エアイエ様の前でそんなこと言うんじゃないよ」 「事実でございます」 ぴしゃりと言い放ち、彼女は長い黒髪を翻して踵を返した。そんな彼女の後ろ姿を見つめ、彼女は黄金の髪を揺らして溜息をつく。 「…ほんに、めんだな嫁だがん」 「……しかし、確かに今回は和舞が悪かったんです」 「そげか」 「日和ほど伊川を想ってくれる人はいないですよ、エアイエ様」 「……そら知っとるがや」 2015.02.06 (Fri) 23:00 back |