::桐と荊の華 誰かが私達を華と呼びました。確かに私達は華の道においてその名を馳せておりますし、名前にも花や植物に由来する字をいただいております。しかし華と呼ぶのは、私達というよりもむしろ私の娘ではありませんでしょうか。 艶やかな黒髪、切れ長の眼、整った鼻筋、淡く色づいた頬、真っ赤な唇。まさしく彼女こそが華でしょう。菖蒲、藤、蓬、薊、桜、菫、蓮、柊、桐、どれも美しいですが、薔薇ほど美しい花はないでしょう。そうです、彼女は薔薇なのです。ただそこに佇んでいるだけで目を奪われてしまう、凛々しく咲く一輪の花。 我が娘ながら、彼女の美貌には畏敬の念を抱かずにはいられません。美しいだの麗しいだの、雅であるだの洗練されているだの、それらの言葉では言い表せない、言い表すのも勿体無いほど、私の娘は完全でありました。 そうです、即ち"神に愛された者"。そう言う方が彼女のことを証明するのに相応しいかもしれませんね。 2014.07.28 (Mon) 19:59 back |