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::我儘なのは、知ってる

「ボス」

斎がボスに差し出したのは、一冊の古びた本だった。西洋の宝物を国立美術館に期間限定で展示するという国を挙げてのプロジェクトにおいて日本にやって来た、西洋の古文書だった。その古文書の"所有権"を斎が掌握し、手に入れたのだ。

「…ちらっと読んだんすけど、それ、読めるんすか」

「私は読めないよ。だから雅に解読を任せる」

傍らに控えていた和舞に本を託し、風紋はこちらを見る。斎は「…そう、すか」とぼやくように呟き、そこから動かない。

「…どうかしたのかい、斎」

「……いえ」

誰が言えるだろうか、もっと褒めて欲しい、だなんて。もっといろんなことを話して欲しい、だなんて。言えないまま、しかしこのまま帰るのも嫌で、斎は立ち尽くす。

「斎」

ボスに呼ばれ、斎は顔を上げる。柔らかな笑みがそこにあって、斎を手招く。呼ばれるままに斎はボスの近くに行く。するとボスは椅子から立ち上がり、斎の頭を撫でた。

「今後も頼んだよ、斎」

まるで見え透いていたかのようなそれに、斎は目を見開く。そして唇を引き結び、ぺこりと頭を下げた。




斎→風紋(if)(一番目にリプで指定されたキャラが二番目に指定されたキャラに惚れたらどうなるか想像して書く)



 

2014.10.05 (Sun) 22:39


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