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::そんなことない

僕が彼と出会ったのは、なんだったっけな…あーそうだ、薔薇嬢の元許嫁ってことで、ちょっと風川に絡んだ時だ。いや、僕は音無だけど、まぁほぼ風川みたいなもんだし。…そんなことはどうでもいい。とりあえず、僕は今、買い出しに出てる。食堂の冷蔵庫の中身が減ってるからね、いろいろ仕入れなきゃならない。んで、ちょっと喫茶店で休憩してた。そしたら、彼と会ったんだ。

「………あんた、確か…」

「あー……っと、君は、枯羽くんだっけ?」

彼は頷き、僕に相席を促してくれる。テーブルにはトレイに載せられた紅茶とタルト。僕もコーヒーを置かせてもらって、向かいに座る。

「………」

「…あの、」

「ん?」

「…俺の顔に、何か付いてる?」

彼に言われ、僕ははっとした。いけない、彼のことを穴が空くほどじっと見てしまっていた。灰色の髪に枯草色の目、色合いは程遠いけどその美しさはやはりどこか彼女に似ていて、

「…音無?」

「………え、あ、ごめんね、なんでもないよ」

…またしても。…いや、けどそれにしても、やっぱり彼の美しさは見惚れてしまう。俺が大切に思ってるのは流人だけだ。流人以外のことを考えることなんてない。うん、そうだよ。彼を美しいと思ってしまうのは、美術館に展示されている巨匠の絵画を観賞するような感覚なんだ、うん、きっとそう。きっと、きっと。

「枯羽くんさぁ、」

「…何」

「僕のことは、遥叉でいいよん」

さっき"音無"って呼ばれて、なんだか胸が苦しくなって、"遥叉"って呼んでほしいと思っちゃったなんて、そんなこと、ない。






遥叉→枯羽(if)(一番目にリプで指定されたキャラが二番目に指定されたキャラに惚れたらどうなるか想像して書く)




 

2014.10.05 (Sun) 21:19


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