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::理想郷

眩いばかりの照明。見渡す限りの人、人、人。黄色い歓声。ありとあらゆる注目を集める彼は、アイドルだった。アイドルこそ天職だと彼は思っていた。

黒い衣装のメンバーが彼の肩を叩く。「お先に」そう言って黒は舞台に立つ。
灰色の衣装のメンバーが彼の脇を小突く。「早くしろよ」そう言って灰色は舞台に立つ。
そして白を纏う彼は口角を吊り上げ、二人の後を追って舞台に立った。

そう、この職こそが天から授かりし仕事。

彼は歌い、踊り、舞った。集まってくれたお客様を、幸せにする為に。



 

2014.07.28 (Mon) 19:46


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