「なわけねーだろ!!目になりたいのはスイミーだ。スイミーの台詞。パクってんじゃねぇよ。お前こそ俺とスイミーの作者に謝れ!「私の御都合主義でレオ二さんの作品の主人公を汚してしまいましたごめんなさい」ってな」
「僕の御都合主義でレオ二さんの作品の主人公を汚してしまいました。ごめんなさい(棒読み)。ほら、レオ・レオニには謝ったよ。偉大な絵本作家だからね。でも君には謝らないよ。っていうか、なんで君なんかに謝らないといけないの?変な会話だね」
「お前が間違った四字熟語を使うからだろ。お兄さんが教育してやったんだよ」
「教育とかどうでもいいから。早くグラサン返しなよ」
「返してやるよ。…取れたらな」
黒斗は、濔音に取り返されないようにサングラスを掲げている。濔音は、背伸びをしてみるが届かない。跳躍してみるが届かなかった。困ったことになった。どうすれば届くだろうかと思考する。
「…そういえば、サンダルに黒曜石って珍しいね。」
「盗んだ黒曜石をサンダルに付けたんだぜ。格好いいだろ」
「でもこれ、はずれそうだよ。ほら見てみなよ」
「…マジ?おかしいな。」
勿論嘘だ。全く黒曜石は、サンダルからはずれそうにない。この暗闇では、視覚での判断は難しい。手触りと感覚で判断するしかない。足元なんて特に見えにくいので、黒斗は屈むだろう。その時だ。奪い返すチャンスは。黒斗がしゃがんだ時だ。濔音は、黒斗が右手に持つサングラスを素早く奪った。
瞬間、濔音は自分の愛用するサングラスではないと判断した。

「……これ僕のでは無いね。僕のサングラスは、澄んだ銀色の縁。これは、濁った銀色の縁のサングラス。素材からして違うじゃないかい。…フェイクが100均のグラサンなんて酷いことをするね。」
「おー危ねぇ危ねぇ。でもすげぇなお前。100均で買った物なんてよく分かったな。」
「何が凄いもんかい。分かるよ普通。100均のシールの痕が、サングラスの付け根についているじゃないか。それにしても君は本当に変わっているね。君が身につけている付属品は、高価な物が大半なのに。これだけ100均なんて。サンダルみたいに後から宝石つけるのかい?」
「ご名答。グラサンだけ高価な物が無かったんだよな。だから、それだけ100均の。つーか凄いなお前。暗闇での識別が出来るんだな。お前、怪盗の素質あるんじゃねぇのか?」

濔音は、黒斗に顎をあげられる。顔と顔が近付いた。その時、濔音には黒斗の右目の色も分かった。暗闇と暁の月の色で染まった色ではなく原色の瞳の色。赤みを帯びた黄みの白。良く見るとゴロゴロ動いている。カラーコンタクトだ。

「生憎、人殺しの素質しか持ち合わせてないんで…ね」

唇が震える。濔音は続けて言った。

「…っ…君は、殺人鬼の僕が怖くないのかい?」
「…殺意の無ぇ殺人鬼なんざ怖くねぇよ」

黒斗は、濔音の顎を持っている手を移動し前髪を優しく撫でる。濔音の額にあるのは三日月の痣。マジマジとその痣を見て微笑した。
濔音は、驚いた。大抵の人間はこの痣を見ると驚愕するか恐怖で平伏す。何故なら、『狂人一家』であり『殺人鬼一家』の印だからだ。

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