「はぁはぁ…」

「ごめんね、中に出して」

まだ、高鳴っている鼓動が煩い。何度も喘いで喉が枯れた。だけど、絶頂を迎えた身体はびくびくと痙攣していたが、処理されながらも快感の余韻が残っていたトゥールシャは、俺の頬を触りキスを何度もしてきて優しく抱きしめた。

「ん…はぁはぁ…トゥールシャ」
「声も枯らせちゃったし、怖い思いさせたかな?」

俺は、首を振った。
「気持ち…良かった」
トゥールシャは、草叢の上にある眼鏡をかけた。眼鏡を少し動かす仕草は、トゥルーシャが照れている証拠だ。
「うん、そっか…僕もだよ」
顔を見せずに、上着を着せてくれた。
息を整えて、暫らく黙って俺等は寝転がっていた。祭りが終わったのか、がやがやと賑わっていた。人が来るかもしれない。だけど、トゥールシャは、動かず喋らず俺を引き寄せ、胸に頭を押しつけた。…どくんどくん。トゥールシャの心臓の音も高鳴っていた。
俺は、目を瞑ってトゥールシャの心音を聞いていた。
…。
人の声が遠くなる。やがて、人の気配がなくなった。
「…アッシュ」
「…ん…?」
「…まあ、いいや…」
「なんだよ、それ」
「ヤる前、僕を見て泣きそうな顔してとから、なんかあったのかと思って」
「…いや、久しぶりにあんたに会えたから嬉しくて」
俺が泣きそうになった理由。
北大陸を出た俺は、もう親友に…トゥールシャに会うことはないと思っていたから。だから、あんたの顔を見れて嬉しかった。こいつにとって俺は未来からきた人間にしかならない。

「…ふーん…」
そう言って沈黙が続き、やがて口を開いた。

「そっか、じゃあこういうべきなのかな?」


君に会えて良かった。

ありきたりな言葉で、沢山言ってくれた言葉。
だが、一番大好きな言葉。
トゥールシャは、満天の星空の下で囁いた。



あんたに会えたことを心から感謝する。

ありがとう。



END


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