とはいえトゥールシャは、サシスをこのままメンバーの元へ連れて行っていいのか考えていた。熱があるし、具合が悪そうだ。しかし、このままここにいるのもなー。
そんなことを考えつつもメンバー『クロス』の元へ向かった。
リアース「サシス!どこ行ってた?遅いから心配していたんだぞ!」
サシス「おお、悪ぃな。賑やかな祭りに酔っちまってな」
リアース「賑やかな祭りに酔ってるのはヒカリだけで充分だよ」
ヒカリ「あっ、サシスおかえりー。って具合悪そうだな。熱でもあるのか?」
ヒカリは、サシスに近寄り背伸びしておでこを触ろうとするが、サシスは
、ヒカリの腕を持ち頭を撫でた。
サシス「心配するな。祭りの雰囲気に酔ってるだけだ。それより、これからこの祭りを一気に俺等の舞台にさせるぜ」
ヒカリは、にやっと笑い、
ヒカリ「そうだな、楽しい音楽の始まりだ」
リアース「薬だけはしっかり飲んでろよ」
といってメンバーはサシスを止めることはしなかった。
ー正直、僕は音楽というのを舐めていたのかもしれない。歌が始まると、花火よりも人々はバンド『クロス』を見た。花火の音よりもヒカリくんの歌が耳と心に響き渡り一気に花火が彼等のための演出になった。そして、ここにいる人は立ちどまり、いつの間にかライブ会場となっていた。歓声をあげ、泣いているものも中にはいたしノリノリで、ジャンプしてはしゃいでるものもいた。
カシャ「まったく。薬飲まねぇで舞台に立つとはいい度胸してんじゃねーか」
トゥールシャ「あっ、君はサシスくんに嫌われていたカシャくん」
カシャ「どういう覚え方してんだ。なんでサシス止めなかった?」
トゥールシャ「あの流れで止められる訳ないでしょ?僕がアッシュなら止められていただろうけど」
カシャ「サシスを殺す気か?」
トゥールシャ「君が心配なのはよく分かるよ。サシスくんは昔から身体が弱いからね。だけど、彼は僕の忠告に耳をかさなかったからねー」
カシャ「どういうことだ。」
トゥールシャ「『音楽で死ねるなら本望だ。』彼が北大陸を出る時、僕に言った言葉だよ。僕は、今日クロスの歌を初めて聴いている。聴いて僕は、音楽という世界を舐めていたよ。こんなに、」
全身身震いするような魂の叫びが歌となっている。その歌が、客と一体感になり気持ち高揚する。これが音を楽しむということ。
トゥールシャ「ずっと聴いてみたいと思うなんてね。僕は止められないよ」
カシャは、トゥールシャの胸倉を掴んだ。
カシャ「おまえ…」
アッシュ「トゥールシャ?カシャ?」
カシャ「アッシュさん!?」
なんて、面倒臭いところに来るかなー。僕は、強い力でカシャの手をのけた。
トゥールシャ「アッシュ来てたんだね」
アッシュ「サシスとリアースのライブだからな。カシャどうした?」
カシャ「アッシュさん。聞いて下さい。サシスが熱あるんだ」
アッシュ「サシスが熱を?」
カシャ「薬飲んでないらしく、このままライブやってたら倒れます」
アッシュ「…」
アッシュはどうするんだろう。
1アッシュは微笑して、
2、そのとき声がした。