?「どうした?こんな所で‥。
おっと、濔音ちゃん。大丈夫か?」

トゥールシャは、振り向く。
クロスのドラマーのサシスが、濔音の側に近寄る。

トゥールシャ「サシスくん」

愛人は、サシスを見て微笑する。

愛人「ああ、君は確かかの有名なエロス神のお気に入りだったね。あっ、違うか、今は三皇のエロスだったね」

サシス「おー。だんなの知り合いか?エロスのだんな、確かエロス神の生まれ変わりだったよな」

愛人「そうだね。しかし、厳密には彼に、会ったことがないんだよ。彼物凄く有名人だから、俺の住んでいる世界にもよく情報が入ってきたよ。例えば、神界の半分の領土をたった一人で制圧したたとか。エロスは、自分がエロス神だったってことを言うのはあまり好きではないとか」

サシス「へぇ、そうなんだな。初めて知った。何しろエロスのだんなの過去には興味無くてな。それに、だんなはは自分のことを話すことが嫌いなもんでな」

サシスは、くくと笑う。

サシス「だから、あえて聞かないことにしている」

愛人「へぇ、そうか。うん、君とエロスは想い合っているんだね。素晴らしい」

サシス「くく、想い合っているかどうかはわからないがな」

愛人「気になる関係だね」

サシス『気になるか?
いつでも、教えてやるぜ?
ベットの上でだったらな?』

サシスは、愛人の耳元で囁く。色気のある低い声がトゥールシャにも聞こえてくる。ーサシスくんの声って脅威だよね‥。うん。この声で僕、イケる。ほら、愛人くんも一歩引いて耳をかくして顔を真っ赤にしているよ。

愛人「遠慮するよ。俺は、男とも抱けるけど、不二子ちゃんみたいなボンキュンボンの美しい女性の方が好みでね」

サシス「くっく、そうか。まあ、どっちでもいいが、名前は?」

愛人「紫木月愛人。人を愛する殺人鬼だよ。それじゃあね、ドラマーのサシスくん、大佐殿」
そして去っていく。

サシス「くくっ。アドだけでも聞こうと思ったんだがな。さて、この銀のお姫様をどうしようかな」

サシスは、濔音をお姫様抱っこする。

トゥールシャ「なんかさ、あれだね。濔音ちゃんって普段よく顔隠しているから分からなかったけど、よく見ると美人だね。それにしても、このピンクの浴衣可愛いし、よく似合っているよ」

サシス「濔音ちゃんは美人だと思うぜ。まあ、俺にとっては女性は皆美人だがな。浴衣は、俺の事務所んとこの浴衣を渡した。黒斗とのデートに困っていたみたいだからな」

濔音「‥デートじゃないよ、サシスくん。でも、デートになるのかな?」

サシス「おっ、濔音ちゃん大丈夫か?くっく、それは濔音ちゃん次第だな。デートだと思えば、デートになるし、デートじゃないと思えばデートじゃなくなる。‥くっく、まあ黒斗はデートだと思っていそうだけどな」

濔音「ふふふ、まさか。12歳の小娘との戯れとしか思っていないよ、黒斗くんは」

サシス「そうなのか?」

濔音「黒斗くんにとって僕の存在は只の興味本位。愛してるとか好きとか言ってくれてるけど、そこに色恋や愛情なんてものは無いと思う。僕が紫木月だから気になってるだけだよ」

濔音は苦笑して言う。
ーうわぁ。ダルメシアン可哀想ー。でも、僕は濔音ちゃんをダルメシアン心酔してるように見えたけど、考えてみたら、12歳も年の差があるんだな。

濔音「多分、紫木月じゃなかったら興味なんて持たないよ。でも、今日は‥楽しかったな‥」

ボソッと呟き下を向く。
嬉しそうな笑顔を隠すためだ。

トゥールシャ「ーあ、照れてる。濔音ちゃん可愛いなあー。」

濔音「て、照れてなんかいないさ////」

サシス「じゃあ俺の立ち位置は2人の仲を引き裂くライバルにでもなろうか?」

サシスは、濔音の手の甲にキスをする。

濔音「ふふふ。相変わらず君は冗談が上手いな。そうやってその魅力的で魅惑的なボイスで全国のファンを口説いているんだろ?悪い人だ。」

サシス「そんなことないぜ。ファンは、口説かない。口説くのは、気に入った子だけさ」

濔音「それは光栄だね。僕は君のお気に入りになるのかな」

サシス「お望みとならば‥」

黒斗「ーおい。サシス。そろそろ、その殺人鬼、返してくれねーか?」

黒斗は、ひょいと濔音をサシスから奪い取る。

サシス「おー。遅かったな」

濔音「黒斗くん?」

黒斗「何、野郎に口説かれてんだ」

濔音「王子様が遅いからナイトが悪い魔法使いを口説いていたんだよ」

黒斗「随分とメルヘンチックだな。悪い魔法使いって、あくまでも姫だとは言わないんだな。つーか俺のポジション違うくね?」

濔音「まあ、いいじゃないかい」

サシス「さて、王子様が来たみたいだから俺は行くか。トゥールシャさん。アッシュさん、川沿いで見かけたぜ。じゃあな、お姫様」

とサシスは額にキスをし手を振って去った。濔音は、額に手を当てほんのり頬を赤くし言った。

濔音「噂に違わぬ女たらしだね」

突然、黒斗は濔音を引き寄せキスをしようとする。しかし、濔音は手で止める。

濔音「待った。黒斗くん。気になることがある。僕は帰るよ。今日は、楽しかったよ。ありがとう‥って黒斗くん?離して」

だが、黒斗は、濔音を離さずに去ろうとする。

黒斗「おい、腹黒眼鏡」

トゥールシャ「なに?」

黒斗「忠告サンキュな。もう絶対こいつを離さない。何があってもな」

黒斗は、濔音を持って去った。

トゥールシャは苦笑した。

トゥールシャ「濔音ちゃんの言葉を借りるなら、サシスくんも魅了的で魅惑的なボイスだけど、不似合いな王子様と云われる怪盗と悪い魔法使いみたいな美しい殺人鬼(お姫様)も充分魅力的だと思うけど。」

ー本当残念だよ。世界が同じなら君達の行く末が見られたのに。
まあ、僕は世界の管理者ではないし、傍観者でもない。僕は僕の世界がある。さて。僕も僕の世界の大切な友の元へ僕も行こうかー。


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