帽子を深く被った少年がやってきた。愛人は立ち止まって、振り返る。

愛人「やあやあ。これは俺の最愛の弟、愛歌くんではないかい」

愛歌「かはは。本来なら、かの有名な零崎のように兄貴を殺すとか言って兄貴にバタフライナイフを投げつけてやりたいけど、そうも言ってられないみたいだな。かはは。ここから、早く新世界に戻りたい。兄貴なら戻り方わかるよな?」

愛人「はは。知らないことはないでもないよ。相変わらず君は、キャラの物真似をするのが好きだね。そこが君の可愛いところだけど」

愛歌「かははとか、零崎人識の笑い方マジでイカして好きなんだけど。どーでもいいけど、くそ兄貴。早く新世界へ戻るためのルート教えろ。ハクトが待ってんだ」

愛人「そうかそうか。お兄ちゃんと一緒に帰りたいかー。んしょっと、あっ、愛歌重い。武器の持ち過ぎではないかい?」

愛歌「うがっ!んなこと一言も!!ちょっ、離せ!!」

愛人「それでは、御機嫌よう。大佐殿」

と、二人は消えた。

トゥールシャ「あ、ボケどころ満載だったのに僕としたことが。さて、僕も突っ込みしてくれるアッシュを探したいんだけど、みーちゃん任せてもいいかな?」

?「お、よく俺の気配分かったなー」

トゥールシャ「名前は?」

?「紫木月暗部、紫木月怒斗(どうと)。ピンクの髪と赤メッシュがトレードマークの嬉し恥ずかし29歳!!いえーい」

トゥールシャ「はははは★僕名前しか聞いてないけど。暗部っていうからミステリアスな存在かと思ったよ」

怒斗「ははは。ただたんにミステリアスな存在だと、ありきたりすぎるじゃんか。よいしょ」

怒斗は濔音を持ち上げる。

怒斗「はー、やっといた。このお嬢の行方を探して数年かかっちまった。」

トゥールシャ「そんなにかかるものなんだー。やるねーみーたん。ははは★そういえば、家出娘って紹介に書いてたけど。なんで?」

怒斗「紫木月は、人を愛したら殺しちゃうだろ?
分家は、あんま煩くないけど本家は子孫残さないといかんから、小さい頃にフィアンセを決めさせられる。んで、そのフィアンセは、お嬢の好みじゃない。お嬢の正反対の好みの男と結婚されるんだ。お嬢は、本家の娘さんだから、それは絶対のお約束。」

トゥールシャ「ああ、成程。みーちゃん、それが嫌で」

怒斗「家を飛び出したってとこ。それがさ、飛びたした時の台詞が可愛いんだ。確か、「ぃやー!!みーは、みーは、おにーたんとおねーたんたちのお嫁しゃんかおむこしゃんになるの!!それがダメだったらね、おじしゃま(王子様)とけっこんしゅる。おじしゃま探してくる!!大きくなったら、帰ってくるね!!」って言って飛びたしたんだー。」

怒斗は、でれーと笑って濔音の頭を撫で喜んでる。

トゥールシャ「はは★それって、まずくない?」

怒斗「お嬢、隠れるのうますぎて中々見つけられんかった。マジで見つけられて良かった。しかし、大きくなったなー。」

濔音「‥お嬢じゃなく、昔みたいにみーって呼びなよ。怒斗くん」

怒斗「うわっ!?起きてたのか」

濔音「怒斗君の気配で起きたよ。僕を本家に連れて帰るのかい?」

怒斗「‥いや。それは、せん(しない)羽音が俺に「みーちゃん助けて」って泣きついてきよったからな。羽音もボロボロやったから、みーも危ないんかと思ってな」

ーあのゴスロリ少女は、羽音ちゃんっていうのか‥。

濔音「羽音ちゃんは?」

怒斗「大丈夫。裏月と花音が保護してくれてる」

濔音「そっか、南館の子達が治療してくれてるんだね。良かった‥。」

怒斗「本家にはお前のことを伝えてない。俺がお前のとこに来たんは、俺の独断。羽音にもお前に会ったことを口どめしてる。羽音だったらみーが家に戻りたくない気持ち分かるだろうしな。こっちのことは気にするな」

濔音「ありがとう、怒斗くん。助かったよ」

怒斗「みーは、怪我とかないか?」

濔音「ないよ。怒斗くんも‥無いみたいだね、良かった。」

トゥールシャは、家族の語らいに邪魔にならないように去ることにした。


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