誰もいない川沿いへ続く夜の道。花火の音よりも耳に残る声。声をかけられた人物の顔を見て思考が止まる。

なぜ、どうして、貴方が。
ドクンドクンと心臓が高鳴る。
デグノボウのような足がかくんと折れ倒れそうになるところを止めてくれた。

?「おっと、大丈夫かい?…大丈夫ではなさそうだな。」

僕は、熱くなる頬を大きな手で優しく撫でられた。その手は冷たくて、冷んやりしていた。その手で僕を横抱きにして裸になった血まみれの小さな足に触れられた。心臓の音が煩い。鼓動が早くなる。

?「君は、相変わらず危なっかしいな。誰に似たんだい?」

濔音「多分貴方に似たんだよ。どうして貴方がここに?ーっ…大丈夫。骨折はしてないよ」

?「骨折はしていないが、いたる所にけがしている。誰にやられたのか大体検討がついているが…。嶋津警部に犯人を護送してもらい、頑丈な牢獄で余生を過ごして貰うよう真実を追及してさしあげようか」 

濔音「はは。ついでに僕も逮捕されそうだよ」

?「君は、私に逮捕されてるからいいんだよ。濔音」

鼓動が早くなる。やめてくれ。
そのような悪戯な笑顔で言わないで。

濔音「…貴方は、警察じゃなくて名探偵だろ?シャーロック・ホームズや、ポアロみたいな素晴らしい名探偵だった。貴方の記憶が失うまではね。ふふ、」

?「ふむ。皮肉なものだ。君に人間の重要な器官…心臓を刺された時に全てを思い出すとは」

濔音「それも、愛の証だよ。僕は、貴方のことがとても大好きだからね。…貴方のことを今でも一番愛しているよ…」

?「…君らしい返答だ。
…。私は、君に会って叱咤しようと思っていたが。君は狡いな。…私は、泣いている女の子に叱れるような性格ではないと知っての犯行かい?ましてや、私を好きになってくれた子に…濔音」

いつの間にか、僕は涙を流していた。
優しい手つきで涙を拭う貴方。

濔音「…っ…ふっ…僕はズルいから…っ」

ぶかぶかの軍服だから手を出せず口を抑える。声を押し殺しながら涙が勝手に流れ落ちる。

?「濔音…」

濔音「合間さん…」

僕は、名探偵の首に腕を絡ませぎゅっと抱きしめた。
口付けをかわそうとしたとき、最後の花火とともに貴方は消えた。

貴方は、僕がよく知っている神界の冥界に還ったんだ。

地面に落ちた体を丸めて僕は謝罪する。

濔音「合間さん、…ごめんなさい」

何回、何十回、何百回、何千回、何万回、数億回、謝っても決して僕の罪は許されることはないだろう。

世の中は自業自得の精神で。自分の行った罪は必ず何らかの形で返ってくる。罪惡にされた行為は僕が合間さんを殺した罪が返ってきただけ。短い言葉で説明したら『罰があたった』ただそれだけだ。

だけどね、
僕は、弱い人間だから。
その罰を受け入れることが容易くないんだ。

だから、
今泣けるだけ泣いておこう。
誰もいないここで。あの怪盗と家族がいない今ここで。


END★

*Mion Birth Day*


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