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私には好きな人がいます。

その人は私の上司です。

その人はサブウェイマスターのノボリさんです。

ノボリさん…ボスは私の好きな人なのですが、私にはボスからある相談をされています。



ボスはある女性が好きです。



それは私ではなく、いつもバトルサブウェイをご利用されるとても綺麗な方です。


私はその方と一度だけお話をしたことがありました。

彼女、ヒナさんはとてもバトルがお好きでバッチも7つ持つ凄い方です。

きっとボスはヒナさんの強さ、そして彼女が持つ柔らかな、女性らしい雰囲気に惹かれたのではないかと思います。

私の推測が当たっているかは分かりませんが、多分、そうだと思います。




話が逸れてしまいましたが、私達がお話をしていた時にたまたまボスがそれを見ていたのです。



ボスは私とヒナさんが仲の良い関係だと思ったらしく、書類を提出する際に小さな声で仰いました。



「ハヤマ様、は、シングルのホームでお話をされていた彼女とは…お知り合いで?」

「え?あ…はい…?」



勿論ヒナさんとはその時始めてお話をした仲です。

知り合いと言えるものではありません。

しかしボスが私に仕事のこと以外で話をして下さったのがとても嬉しかったのです。


なので口から出た言葉は否定ではなく、肯定の言葉を言ってしまいました。



「…ボスの言ってる方はヒナさんのことでしょうか?」

「ヒナ様…と仰るのですか?」

「ボスの言ってる方と同じでありましたら…ウェーブのかかったクリーム色の髪の毛の方ですか?何時もコーラル色の鞄を持たれている…」

「えぇ、えぇ、そうです」



ボスはヒナさんの容姿を頭に描いているのだろう。

何時もは下がり気味の口元がゆるりと緩むのが私にも分かりました。



「失礼ながら…ボスは…あの……」

「…?何か?」



ボスがヒナさんに好意を寄せているのは容易に分かります。

それは私がボスに想いを寄せているからです。

好きな人が想いを寄せている人などすぐに分かってしまうものだと、友人が言っていたのは本当のようですね。



「ボス…は、ヒナさんの、こと…を」

「……」



何故自ら首を絞めに行くのだろうと皆様は笑うかもしれません。

しかしこの時、口からは自分の意思とは別に言葉が生み出されてしまったのです。



「ボスは…ヒナさんのこと、お好きなの、です、ね」

「………えぇ、そうかも、しれません」



そうかもしれない。

だなんて嘘に決まっています。

ボスはヒナさんを本当に愛しているのです。



ボスの口元が優しく緩んだのを見て、私は震える両手を背に隠すしか出来ませんでした。







きつく握った拳と一緒に
私の想いも容易く潰された





2011.10.8



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