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※ノボリ視点




私はヒナ様をお慕いしております。

自分でも始めての事でしたので、これがそういったものであるのに気付くまで時間が掛かりました。



恋と言うものは非常に難しく、とても心が痛むものだと初めて知りました。

バトルをしている時とは違う高揚に、最初は戸惑ったものです。






そしてヒナ様にもお慕いしている方がいらっしゃると知った時は、オノノクスにでも心臓を鷲掴みされたような気が致しました。


私、あの感覚は今でも忘れられません。


ですがそれでも私はヒナ様をお慕いするのを止める事など出来ず、決して結ばれる事のない赤い糸の片方を握るだけでございます。








少し話しは逸れてしまいますが、私には部下がおります。

やはりサブウェイマスターをしている身ですので、それは宿命でございます。


数少ない女性の鉄道員の中で、ハヤマ様と言う部下が私にはおります。

彼女はとても仕事熱心で、少し生真面目過ぎるくらいな程です。




彼女は私の部下でもあり、恋愛相談の相手でございます。






恥ずかしい話ではありますが今までにこれと言った恋愛をしてこなかった私には、初めての恋にどうしたら良いのか何も分からなかったのです。

その時にヒナ様と親しいと言うハヤマ様に相談をしたところ、快く相談を受けて下さったのです。






時間が合えば休憩のお時間を割いて頂き、相談に乗って頂いておりました。

やはり体を休める時間を私に下さったので、ハヤマ様には本当に申し訳ない事をしてしましました。


何時だかその旨を伝えれば、笑ってそんな事はないと仰って下さったのですから彼女は本当に優しい。

上司としては少しその優しさが心配でもありましたが。











ある日ハヤマ様とクダリが話しているのを偶然、聞いてしまった事がございました。

その時に私はヒナ様にはそういったお相手がいるのだと初めて知ったのです。



それを知った時は気が動転してしまったままシングルトレインに乗車してしまいましたが、自分なりに考えた末、ヒナ様をお慕いするだけで十分だと思ったのです。



元々ヒナ様とその様な関係になれるとも考えてもいなかったのですから。




その事を彼女…ハヤマ様にお伝えした時はぽろぽろと涙を流され、とても驚いたのは記憶に新しいものです。












そんなハヤマ様は、最近、クダリとの仲がとても良くなったと思います。


別にクダリとハヤマ様の仲を私がとやかく言うものではございませんが、やはり今まで自分と一緒であった時間をクダリと共有しているのだと知り、少しばかり寂しく感じてしまいました。



先日はクダリと一緒にランチを頂いたようですが、何故あの様な場所で抱き合っていたのか私には考えてもさっぱり分かりませんでした。

しかし、ハヤマ様と一度も目が合う事がなく、最後に見えたのが……私の見間違えでなければきっと、泣いてらっしゃったようなのです。



あの後クダリに直接ハヤマ様と何があったのか聞き出しましたが、知らないの一点張りですし、私からハヤマ様に直接聞くのも何故か躊躇いがありました。





「可笑しな話でございますね…」

「なぁに?ノボリ、どうしたの?」

「いえ、何でもありませんよ」




私達、サブウェイマスターのみの執務室なので当然返ってきた声の主はクダリであって、今だけは聞きたくない声でありました。


理由などさっぱり分かりませんでしたが、何故だかその時は少しばかりクダリに何かモヤモヤとした不思議な感情が湧いたのでございます。





それはヒナ様にお慕いしている方がいらっしゃると知った時と類似しているような。

そんな感情でございます。











可笑しな話しではありますが、ハヤマ様とクダリが抱き合っているのを見て、何故だか嫌なものを感じたのでございます。

私もこの感情が一体何を表しているのかさっぱりではありますが、この事をハヤマ様に相談するのは涙の理由を聞くのと同じくらい…躊躇いがあったのです。






この感情が何なのか
誰か教えて下さいまし




2012.2.4




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