02






これは夢に違いない。

だってホウオウが目の前にいるなんて可笑しいじゃないか。

しかしこんな可笑しな夢を見る自分がちょっと凄いと同時に思った。

夢を夢だと自覚しながら行動出来るなんて今までなかったし、胸が躍った。



『お主、何故こちら側へ…体はどうしたのだ』

「おぉー…夢だと分かっててもなんだか緊張しちゃうなー」


まじまじとホウオウを見るけど、夢の中なのにこんなに鮮明にホウオウの姿を登場させる事が出来るだなんて私もかなりのポケモンファンじゃないか。



「いやー、こんなに素敵な夢見れるなんて凄いなー!」

『夢?何を言っているのだ?』

「あ、あ、会話してる!」

『会話くらい我とてする。しかしお主、今夢を見ていると言ったか?』

「わぁー!凄いホウオウと会話!うんうん!言った!」

『ここは夢などではないぞ』

「またまたー、夢なのに凄いなー…生々しい夢って見れるもんなんだなぁ…」



ホウオウと会話をしている事に私はとても嬉しくて、夢の中なのに思わず興奮してしまった。

昨日なんてマンホールから落ちる夢を見たのに、夢とは本当毎日違うものを見せてくれるのだと感心してしまった。


(こんな素敵な夢だったら毎日見たいのになー)



うっとりとホウオウを見ている私を哀れむ目に少なからず腹が立ったが、夢の中だ。

別に特別怒る事でもない。



『娘よ、良く聞け』

「はい!」

『此処をお主は夢の世界と言うがそうではないのだ。理由は解らぬがお主の世界から魂だけが此方に来たようだな…』

「えぇ?あー…はい?」

『信じられぬかも知れぬが此れは事実だ、受け止めよ』

「や、だってそんな…あはは…」



ホウオウは私が何を言っても夢の世界ではないとしか言わない。

何を言っているのか段々と解らなくなってきた。



だって私は、夢を見ているだけだ。

この世界を現実だと信じられるわけがない。



「だって、ここは、ゲームの世界……で、しょう?」



ここが本当に夢の世界なのか、現実世界なのか解らなくなって頭がぐらぐらする。

ふわふわと体が宙を浮いてるのもあり、視界もぶれて気持ち悪い。



私はこの世界が夢じゃないと困るのだ。




じゃあ私の世界は何処に行ったの?



2011.10.8


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -