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目覚めると私は知らない場所にいた。


そこは少し古い建物のようで、ところどころに金色の装飾がされた立派な場所だった。

中学生の頃に修学旅行で行った京都のどこかのお寺みたいな内装である。

思わず勝手に中に入ってしまったことで通報され、捕まってしまうのではないかと怖くなった。



(でも一体何時こんな場所に来たんだろう…)



考えていてもどうしようもない。

とりあえず夢遊病になった覚えはないのだ。

誰かによって連れて来られたのかもしれない。


恐怖がないと言ったら嘘だが、早くこの場を抜けて警察に駆け込む必要があると考え私は立ち上がった。




立ち上がった筈だった。



「え…?」




ふわりと体が浮いたのだ。


(あれ?やっぱりここって夢の中なのか…な?)



自分の手を見れば、なんだか薄ら向こう側が見えるような気がする。



「ゆ…め?」



自分の体が透けて見えるなんて夢以外考えられない。

そもそも私は幽体離脱なんて体験したことがないのだ。



「うーん……これって幽体離脱なのか…な…?」



今の状況が夢なのかもしれないと、自分の頬を抓ってみたが実体がなかったから痛みなど感じなかった。

仮に幽体離脱してしまったのならお寺の人に助けを求めるのが最善だろう。



仮に殺されかけても実体がないのだ。

死ぬわけがない。



「あー…ここにいてもしょうがないし…違う部屋に行ってみるかー…」



大きく開いた窓みたいなものから(実際にはガラスもなにもないんだけど、なんて言うのか解んない)外を覗けばかなりの高さだった。

たぶん私のいる場所は最上階なんだろう。

上へと続く梯子も階段も見当たらない。




何処か下へ繋がる階段はないかと辺りを探している時だった。


私の後ろ、さっき外を見た窓の方から男の人の声がした。


それはとても穏やかであったが、少しの殺気がこもっていた。




『お主…何処から参られた』


「…え?」



(あぁ…これは夢なんだなぁ…)

(だってこれが現実だったらとっても可笑しい)


(そう)


(だって)



(私の世界には存在しない)





「ホ……ウ、オ…ウ?」






ゲームの向こう側でしか見たことのない、鮮やかな虹色の羽が私の目の前を埋め尽くした。






ねぇねぇ教えて?
私の体はどうなってるの?



2011.10.8


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