サブクリ03 |
3/3 「で、結局なにしに来たんですか?」 「んー?」 「クダリ、ネクタイが曲がってますよ」 今日もバトルサブウェイは通常運行。 そもそも休みなどない。 三人とも仕事に向かわなければならないため、冷蔵庫にあった食材でなんとか朝食を作る。 庶民の冷蔵庫に良いものが入ってると思うなよ。 なんだかんだでクダリさんもノボリさんも綺麗に平らげてくれて、一安心したが結局二人がわざわざ私のところに来た理由を聞いていない。 ノボリさんにネクタイを直してもらいながら、クダリさんはちょいちょいと私を手招く。 「…?」 「ぼくたちいつもアオイちゃんにお世話になってるでしょ?」 「え?まぁ…そうですね」 クダリさんの言葉に正直驚いた。 迷惑かけてるとか微塵にも感じてなさそうだったから、思わず泣きそうになった。 「ですから私達、アオイ様に」 「クリスマスプレゼント、用意したの!」 「えぇぇぇぇぇ??」 脳が処理に追いつけなくなった。 なんだ? プレゼント? 「えーっと…お二人が、私に?」 「えぇ」 「そう!とっておきのプレゼント!」 ぱたぱたとクダリさんは玄関へと走り、ノボリさんは私に座るように手を引く。 「これからも関係が変わる事はございませんが」 「あ、そうなんですか」 「私達も男ですからね」 「あはは…」 「アオイちゃんにはいっぱい負担かけちゃってるから、ぼくたちプレゼントいっしょうけんめい考えたの!」 「あ、ありがとうございます…」 あぁなんだもうちょっと泣きそうだ。 いや、かなり泣きそうだ。 視界が若干もやもやと歪んでるのがわかる。 まさか二人からこんな言葉を貰えるとは思わなかった。 でも私の一番のプレゼントはこの関係を終わらせてくれることであったが、それに近いなにかにはなったのではないかと期待は大きい。 なんってったって二人が迷惑をかけていると思って、わざわざプレゼントを考えたのだ。 「それでね、ぼくたち考えたの」 「はい」 「アオイ様の負担を無くすには、私達が傍に居れば良いのだと」 「…んん?」 「いつもアオイちゃんとのえっちはぼくらの家でしょ?それでしたあとにはお家帰る!それってたいへん!」 「えぇぇ?」 「まぁ、その他にもお願い事をする度に私達とアオイ様の家を往復するのが大変だと思いまして」 クダリさんに右手を取られ、グレーのカードをのせられた。 「なんですか…これ……」 「私達の部屋の隣の部屋です」 「は……?」 「ぼくたちおとなりさん!いつでもアオイちゃんと遊べるね」 「いや、え…?」 「本日アオイ様の午後の休みは取っておきましたので」 「業者さんもぼくたちで手配した!」 「ですから安心して下さいまし」 メリークリスマス!だなんて二人でにっこりと笑ってるが私は笑えない。 あぁそうか。 今以上に私は苦労ごとが増えるんだ、分かるぞ。 二人からのプレゼントに私は逃げられないようにされたと、目の前が真っ白になった。 首輪の代わりに 君を手元に メリークリスマス! 2011.12.26 |